しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月10日(日)

根本問題噴出するカジノ実施法案

徹底審議し廃案に

 刑法が禁じる賭博場・カジノを解禁するカジノ実施法案を審議している衆院内閣委員会は、与党が質疑打ち切り・採決を提案する一方、野党4党1会派が徹底審議を要求する緊迫した状況が続いています。(竹腰将弘)


 同委員会では先週の6日に1時間25分、8日に1時間45分というきわめて短い時間の質疑しか行われていません。いずれも委員会の定例日で、終日質疑を行う条件があったのに、与党が質問時間の切り詰めを求める「与党の審議拒否」(日本共産党の塩川鉄也議員)が起きたのです。

業者が客に貸し付け

 塩川氏が追及した「特定資金貸付業務」は各党が取り上げ、その問題点がいっそう鮮明になりました。カジノで手持ち資金を使い果たした客にカジノ事業者が賭博資金を貸し、さらに深みにはまらせる業務です。

 「世界中のカジノでやっていることだから事業者には当然需要がある」(内閣府の中川真IR推進本部事務局次長)という答弁が示す通り、政府は日本に進出する米国など海外のカジノ資本の要求をくんで、法案に組み込みました。

 塩川氏が追及したカジノ施設の面積上限の絶対値の規制が取り払われた背景にも、海外カジノ資本の強い要求があります。

 カジノ事業を規制・監督する「カジノ管理委員会」の抱える矛盾も深刻です。独立した行政委員会として強い規制権限を持つ同委員会が、カジノ事業を推進する側の官庁との関係を遮断されておらず、事務局にカジノ事業者の任用も妨げないという“ズブズブ”の関係となり、規制どころか推進の機関になる危険性を指摘した塩川氏の質問に、委員会室がどよめきました。

刑法は民営賭博禁止

 同法案は、刑法が犯罪として禁止している民営賭博を合法化するものです。

 安倍晋三首相は、カジノ解禁は、「刑法の賭博を禁止している法制と整合性がとられている」と繰り返し答弁しました。政府の論理は、カジノ法制の整備を政府の責務としたカジノ解禁推進法は「刑法との整合性の検討」を求めている→政府は整合性を検討したうえ実施法案を準備した→実施法案は刑法と整合性がとれている―という循環論法に陥っており、到底通用しません。

 安倍首相はカジノ解禁の「経済効果」を強調しますが、政府は「定量的な試算はできない」(中川次長)といい、カジノがもたらすマイナスの効果は度外視しています。

 カジノの運営基準を定める膨大な法案であるにもかかわらず300項目以上が政省令やカジノ管理委員会規則に委ねられており、審議すればするほど制度の根幹にかかわる問題が噴き出す状況です。

 質疑打ち切り、採決などとんでもありません。徹底審議したうえ、同法案は廃案にすべきです。


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