2018年6月9日(土)
時間規制を緩和 すでに7割も
「働き方」法案 新たな虚偽データ
さらなる緩和は論外、法案の白紙撤回を
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「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)など「働き方改革」一括法案の労働政策審議会での審議に使われた労働実態データに、新たな虚偽・ねつ造がみつかった問題は、いよいよ法案に根拠がないことを示しています。
問題のデータは、2013年の就労条件総合調査をもとに裁量労働制や変形労働時間制など労働時間規制を緩和した労働者の割合を集計したもの。14年1月15日の労働政策審議会に示されました。
緩和した制度では長時間労働やサービス残業が問題になっています。同省は、この制度で働く労働者は全体の54・7%にのぼる一方、1日8時間・週40時間の「一般的な働き方」は45・3%と説明していました。
少なく粉飾
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ところが、「一般的な働き方」に「管理監督者」を含めて、緩和した制度を少なく見せかけていたのです。
労働基準法で、「管理監督者」は労働時間、休憩、休日の規定を適用されず(41条)、一般労働者とは全然、違います。賃金構造基本調査によると、全就業者の1割程度。少なくとも360万人程度と推計されます。これを除くと「一般的な働き方」は、3割程度にまで落ち込み、「緩和した働き方」で働く労働者が7割になるとみられます。
このデータが示された労政審で、労働者委員から「新たな適用除外制度よりも現状の検討が先決ではないか」「『名ばかり管理職』が問題の管理監督者についても議論を深めるべきだ」との意見が出ましたが、すでに7割にのぼることは隠されたままでした。
実態把握を
日本共産党の倉林明子参院議員が労政審議会に差し戻すよう求めたのに対し、加藤勝信厚労相は「管理監督者は通常の働き方とは異なる。正確性に欠けていた」と虚偽データだと認める一方、「高プロとは違う」と強弁しました。(7日、参院厚生労働委員会)
しかし、労働者の7割も例外的な働き方にすでにあるとなれば、時間規制を外す「高プロ」の導入などは論外となるのは必至です。倉林氏は、管理監督者などの実態を把握した上で労政審に差し戻すよう求めました。法案を白紙撤回し、労政審の議論からやり直す以外にないことが浮き彫りとなっています。