しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月6日(水)

主張

出生数の連続減

現状打開する政治へ転換急げ

 2017年の日本の子どもの出生数は94万6060人で過去最少を更新したことが先週発表の厚生労働省の統計で分かりました。合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの推定数)も1・43と2年連続で減少しました。少子化に歯止めがかからないどころか、転換へのきざしもみえません。子どもを産んで育てたいと願っても、それが実現できない社会から脱却できないことは、日本の未来にかかわる大問題です。安心して出産・子育てができない深刻な現状をただすため、政策の切り替えを急ぐとともに、政治の姿勢を大本から変えることが求められます。

2年連続100万人割れ

 年間の出生数が100万人を割り込んだのは、16年の97万6978人に続き2年連続です。政府がこの統計を取り始めた1899年(明治32年)以来、最少の出生数です。日本の少子化が進行している現実を浮き彫りにしています。

 合計特殊出生率も16年から0・01ポイント下がりました。国の人口を維持するための目安とされる2・07にはまったく届きません。フランス(1・92)、スウェーデン(1・85)、イギリス(1・79)との差も歴然としています。安倍晋三政権は15年秋に「一億総活躍社会」を掲げ、「25年度に希望出生率1・8」をめざすと言い出しましたが、その達成は困難視されています。

 安倍政権は来年10月からの消費税増税の一部を使い保育や教育の「無償化」を打ち出しました。しかし規模は小さく、保育無償化では範囲の「線引き」をめぐる議論を持ち出したため、国民の不信を募らせる結果となっています。「待機児ゼロ」達成の年度も先送りするなど必要な待機児解消策をとらないことも怒りを集めています。

 「総活躍」などのかけ声の政治でなく、大もうけする大企業に応分の負担を求めるなど財源を確保し、無償化をはじめ子育ての経済的負担を大幅に軽減する施策等の充実へ踏み出す政治への転換が必要です。あわせて認可保育所大増設など切実に求められる政策を緊急に実行することが不可欠です。

 「『男も育児』だとか格好いいことを言っても、子どもにとっては迷惑」(自民党の萩生田光一幹事長代行)と男女共同参画の考えに反する発言が平気で飛び出す政権の姿勢自体が、極めて問題です。

 安倍政権が今国会成立を狙う「働き方改革」一括法案は、子育て社会の土台を掘り崩すものです。いまでも長時間労働で仕事と家庭の両立が厳しい人が多数いるもとで、労働時間規制を撤廃する「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ制度」)導入や、「過労死水準」までの残業時間を合法化するなどの大改悪案は、子育てが困難な異常な日本社会の実態に拍車をかける逆行そのものです。「働き方」法案を許さずまともな働き方改革を実現し、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」にすることは、安心の子育て社会の基盤をつくるためにも焦眉の課題です。

希望かなう社会に向けて

 日本の少子化は大企業優先政治のゆがみが引き起こした深刻な行き詰まりの結果です。「少子化」「人口減少」を消費税増税や社会保障削減を国民に押し付ける“脅し文句”にしようという政府・財界のやり方に道理はありません。全ての世代が希望をもって安心して暮らせる政治へ転換が急がれます。


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