2018年6月3日(日)
過労死防止へ日中韓で交流
学会大会で国際シンポ
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過労死の実態と防止対策を調査研究し、効果的な防止対策に生かそうと過労死防止学会の大会が2日、札幌市で始まりました。日中韓・過労死防止国際シンポジウムとして、各国の研究者や弁護士が、法律や過重労働の現状、過労死防止の取り組みを報告し、交流しました。
中国適度労働学会会長・首都経済貿易大学教授の楊河清氏は、中国で過重労働問題が大きくなっていると指摘。一方で研究不足で、過労死が疑われる事例を医学的に解明できないなどの現状を報告しました。
韓国過労死予防センター事務局長で弁護士のジョン・ビョンウク氏は、今年2月に勤労基準法が改正され、週最長労働時間が68時間から52時間に短縮されたと報告。脳・心臓疾患の労災認定も発症前12週間で、1週間平均52時間を超えて長くなる場合という基準に加えて、七つの業務では52時間以下でも認定されるなどの基準改正を紹介しました。
過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正氏は、過労死110番運動の30年を振り返り、遺族、弁護士、支援者の運動が、過労死・自殺の認定基準を広げ、認定件数の増加にもつながってきたことを報告しました。
「働き方改革」一括法案にある過労死ラインの残業上限規制について、「労基法の人たるに値する生活には、家族生活、社会的・文化的生活が含まれる。命、健康が守られればいいのではない。その考え方を変えるのではないか、と懸念している」と語りました。