2018年5月29日(火)
人種差別・反移民に抗議
圧倒 極右デモの5倍
ドイツ首都 2万5000人が包囲
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【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が27日、ベルリンで行ったデモと集会に対し、同党に反対する人々が圧倒的な数で集まり、人種差別、反移民の姿勢に強く抗議しました。
AfDは昨年9月の総選挙で初めて連邦議会に進出。一挙に92議席を獲得し第3党となりました。それ以来初めての全国動員デモでしたが、事前に発表していた1万人の半分の5000人(警察発表)の参加にとどまりました。これに対して、反AfDの参加者はその5倍の2万5000人(同)で包囲しました。
AfDは、ベルリン中央駅前からブランデンブルク門前までデモ行進。中年や高齢の男性が目立つ参加者はドイツ国旗を振り、メルケル首相非難、移民の強制送還、イスラム批判などのプラカードを掲げました。
ブランデンブルク門西側の広場では、フェンスで囲われた厳重警備のなか、AfDがデモ終結集会を開催。ガウラント党首が、「われわれはドイツを愛している」と「愛国」を前面に出し、「多文化主義の狂気を終わらせる」と演説しました。
2万5000人の反AfDデモは、市内各地でのデモや連邦議会前の集会、シュプレー川でボートも浮かべた水上デモなどを展開。子どもを連れた家族も目立ち、多数の若者が思い思いの手作りプラカードやいでたちで反AfDを訴えました。
ブランデンブルク門周辺では、AfD集会を取り囲むように多数の参加者が集結し、「ナチは出ていけ」など地鳴りのようなシュプレヒコールをあげました。
ベルリン生まれのトルコ系ドイツ人ヒュルヤ・ギュレルさんは、移民女性のグループとともに「AfDの人種差別と性差別に反対するために参加した」と語りました。AfDが、夫が働き、妻が主婦という家族像を主張していると批判しました。
ギリシャからの移民アンティゴニさん(27)は、「ギリシャでも極右政党が第3党になっている。愛国の党だなどと言いながら、批判派のラッパーを殺害した。AfDも今止めないといけない」と語りました。