2018年5月10日(木)
武器輸出で中東に戦火
独最大軍事企業に抗議行動
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【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツ最大の軍事企業ラインメタルによる武器輸出に抗議する行動が8日、ベルリンで行われました。
同社の株主総会が開かれた市内のホテル前での集会では、ミサイルのオブジェなどが登場。同社による攻撃兵器がトルコ、サウジアラビアなどに輸出され、シリアやイエメンでの戦火をあおっているとして、武器輸出の停止と民需生産への転換を要求しました。
平和団体や環境団体、キリスト教会の代表や、左翼党や緑の党の国会議員が演説。参加者は地面に体を横たえる「ダイ・イン」で兵器による殺りくを告発しました。
この日は、ナチス・ドイツが敗北し、ファシズムからドイツ国民が解放された日。ナチス被迫害者連盟・反ファシスト同盟(VVN・BdA)のウルリヒ・ザンダー氏は、ナチス政権下で国有化されていた同社が戦後西ドイツの再軍備とともに急成長した歴史に触れ、2001年に同社が戦時強制労働の生存者への補償を行ったものの支払われるべき賃金のごくわずかにすぎなかったことを批判しました。
左翼党のカトリン・フォグラー議員は、同社の監査役に多くの元閣僚が就任して多額の報酬を受け取っていると指摘。また欧州連合(EU)の「恒常的構造防衛協力」(PESCO)の下で進められている兵器の共同開発で、同社が中心的役割を果たしていると述べました。
集会には、ラインメタルの子会社があるイタリアから企業の倫理的活動を促す活動を進める財団の代表も参加。ドイツやイタリアから紛争地域に向けて行われている武器輸出がEU法に違反しているとし、ラインメタル社がトルコや南アフリカなど世界にプラント輸出やライセンス生産を拡大していることを批判しました。