2018年4月19日(木)
お金の心配なく学べる社会に
どう見る「高等教育無償化」
田村副委員長に聞く 4
消費税頼りで財源できぬ
―安倍政権は、消費税増税分で無償化すると言っています。
安倍政権の「高等教育無償化」は、消費税10%増税の口実として持ち出してきたものです。
そもそも消費税を増税すれば、必ず「増税不況」が起きます。消費税は、低所得者ほど負担の重い、不公平な税金です。教育無償化の財源を消費税に頼れば、格差と貧困はますます拡大します。
圧倒的多数の学生にとっては、無償化の「蚊帳の外」におかれるだけでなく、増税による負担増が襲い掛かることになります。
年1万6000円負担増
―どのくらいの負担増になりますか?
日本学生支援機構が行っている「学生生活調査」(2014年度)は、居住形態別で学生の支出を調査しています。支出の中で、「授業料」など消費税非課税となる項目を除いた支出に増税分の2%をかけて試算すると、平均で学生1人当たり年間約1万6000円の負担増となります(表)。下宿、アパート暮らしの学生は約2万3000円の負担増で、最も重くなります。授業料は非課税ですが、大学の経費には消費税が課税されるので、学費も値上げする可能性がありますから、実際の負担はさらに重くなります。
東京私大教連の「私立大学新入生の家計負担調査」(17年度)によると、毎月の仕送り額は、1994年度と比べて3万8800円減の8万6100円で過去2番目に低い水準です。消費税増税によりさらに減る危険があります。
1日あたりの生活費は、1990年度では2460円でしたが、2017年度はわずか817円です。ギリギリの生活を強いられている若者の生活に重大な打撃を与え、経済を壊す消費税増税は、きっぱり中止すべきです。
富裕層優遇やめて
―それでは、共産党は消費税に頼らずに、無償化の財源をどうつくるのですか?
富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革や、歳出の浪費をなくす改革を進めれば、段階的無償化に踏み出す財源は十分に確保できます。
例えば、安倍政権は、法人税率の引き下げなどで、4兆円もの企業減税を実施してきました。しかし、こんな減税をしても大企業の内部留保を増やすだけで、賃上げにも景気回復にもつながっていません。今や内部留保は400兆円を超えています。
研究開発減税などの大企業の優遇税制を見直せば4兆円、法人税率引き下げをやめ、中小企業を除いて安倍政権以前の税率に戻せば2兆円、富裕税の創設などで1・1兆円、大型公共事業・軍事費・原発推進など歳出の浪費をなくせば3兆円の財源を確保することができます。
消費税に頼っていては、無償化の財源を見いだすことはできません。
日本の高等教育への公的支出は、先進国(OECD加盟国)の中で、最低水準です。家計負担は先進国の平均の倍になっています。
日本共産党は、学生、高校生、教育関係者、そして国民と力を合わせて、学費の無償化に向けた着実な前進と、安心して使える奨学金制度の実現のために全力をあげます。(おわり)
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