2018年4月17日(火)
お金の心配なく学べる社会に
どう見る「高等教育無償化」
田村副委員長に聞く 2
安心して使える奨学金へ
高学費政策が原因
―なぜ、学費はこんなに高いのですか?
1970年の国立大学の授業料は1万2000円、私立大学は8万5666円(平均)でしたが、現在、国立大学は53万5800円(標準額)、私立大学は87万7735円(2016年度平均)にまで高騰しました。
これは、進学者の増加で増大する経費を学費値上げによって家計に負担させる高学費政策によるものです。
国は、国立大学の学費を05年まで毎年のように値上げし、私学助成の抑制で、私立大学の学費高騰を誘導してきました。国は、私立大学の「経常費の2分の1助成の速やかな達成を目指す」とした国会決議(1975年)をないがしろにして、経常費のたった9・9%(2015年度)しか補助していません。そのために、私立大学は、経常費の7割を学費収入に頼っているのです。
高校から大学卒業までの費用は935万円(日本政策金融公庫の調査)に高騰し、経済的理由で進学をあきらめる若者や退学を余儀なくされる若者が後を絶ちません。アルバイトに追われる学生は8割を超え、学業の障害になっています。
―学費の値下げは実現できるのですか?
国の高学費政策を転換させれば実現できます。昨年の総選挙では、各党が「高等教育無償化」を公約に掲げ、これが大きな争点となりました。重い学費負担を何とかしてほしいという若者の願いが政治を動かしていることに確信をもって、世論と運動を広げましょう。
高等教育の段階的無償化は、国際人権規約(1966年国連総会で採択)でも定められています。日本政府は、この条項を2012年に批准しており、高等教育の段階的無償化は国際公約にもなっています。
軽減と改善を提案
―どうやって無償化を進めるのですか?
日本共産党は、無償化の実現に向けて、授業料の軽減と奨学金制度の改善を提案しています。
一つは、国公私立の大学・専門学校の授業料を10年で半減させることです。
国立大学では、国の運営費交付金を毎年160億円程度ずつ増やし、毎年授業料標準額を2万6000円程度引き下げます。
私立大学については、国の私学助成の中に、学費値下げ緊急助成枠をつくります。私学助成を毎年900億円程度引き上げていきます。
公立大学については、国から授業料を引き下げる公立大学に補助する制度(毎年40億円程度)を創設します。
二つ目は、現在の奨学金はほとんどが、返済しなければならない貸与制であり、奨学金という名の借金です。しかも、貸与制奨学金の6割は利子が付くものです。
ですから、日本共産党は、▽貸与制奨学金はすべて無利子にすること▽給付型奨学金は、現行の貸与制奨学金の受給者の半分にあたる70万人に月額3万円(年間36万円)を支給すること▽授業料減免制度については、世帯年収400万円以下の場合は授業料を減免する制度をつくることを提案しています。(つづく)