2018年4月16日(月)
シリア攻撃 米英仏に各国批判
安保理緊急会合「国連憲章に違反」
【ワシントン=池田晋】国連安全保障理事会は14日、米英仏がシリアの化学兵器関連施設を軍事攻撃したことを受け、緊急会合を開きました。武力行使承認の安保理決議がないまま常任理事国3カ国が行った攻撃に、国連憲章違反との批判が上がりました。
国連のグテレス事務総長は、現在のシリア情勢は国際社会の「最も深刻な脅威」だとし、各国が「事態が制御不能に陥るのを避ける必要」があると強調。米英仏の名指しはしませんでしたが、「国連憲章は諸点において非常に明白だ」と述べ、憲章の順守を呼び掛けました。
ボリビアは、化学兵器使用はいかなる状況でも非難すると述べる一方、「3常任理事国が国連憲章に違反して武力を行使した」と米英仏を批判。「事実究明、安保理の義務、そして全国際社会に対する攻撃だ」と述べました。
赤道ギニアも、攻撃が国連憲章と国際法に違反すると指摘。2011年の米英仏などのリビアに対する人道的介入の結末からも、「武力行使はシリア情勢に何ら打開をもたらさない」と強調しました。
そのほか「どのような言い訳に基づく行動であろうと、軍事力行使は正当化されない」(カザフスタン)「いかなる解決策も国連憲章に一致しなければならない」(ペルー)など、自制と外交解決を求める声が相次ぎました。
ヘイリー米国連大使は法的根拠を何ら示せず、「措置は正当で合法、相応だった」と主張。「アサド政権が再び毒ガスを使うなら、米国は狙いを定め、弾をこめる」と再攻撃の意向を示しました。
安保理は、ロシアが提出した米英仏の攻撃を非難する決議案を採決し、賛成3(ロシア、中国、ボリビア)、反対8、棄権4(赤道ギニア、エチオピア、カザフスタン、ペルー)で否決しました。