2018年3月21日(水)
自民調査会
空母・F35B 保有を提言
違憲の敵基地攻撃能力
自民党安全保障調査会(中谷元会長)は20日、政府が年内に決定する新たな「防衛計画の大綱」と中期防衛力整備計画策定に向けた提言の骨子をまとめ、戦闘機の離着陸が可能となる「多用途防衛型空母」の導入と、艦上で短距離離陸・垂直着陸できるF35Bステルス戦闘機の取得を盛り込みました。
さらに、提言は「敵基地反撃能力保有」の検討や、スタンド・オフ・ミサイル(長距離巡航ミサイル)など「長距離打撃力」の整備を明記しました。政府が憲法上、保有できないとしてきた「敵基地攻撃能力」の導入を促すものであり、自衛隊の装備体系を大きく変質させる重大な動きです。
現在、海上自衛隊が保有する「いずも」「ひゅうが」型護衛艦は甲板上でヘリの運用が可能なため、「ヘリ空母」と呼ばれてきましたが、明確に空母とされる艦船は保有していません。政府は「いずも」などの改修とF35Bの運用に関する調査・研究を行っており、自民党の提言はこうした動きを後押しするものです。
これまで政府は、「専守防衛」の観点から、戦闘機の運用が可能な攻撃型空母の保有は憲法違反としてきました。中谷氏は記者団に対し、「(導入を求めているのは)攻撃型ではない空母だ。専守防衛の範囲内だ」と述べましたが、対地攻撃を主任務とするF35Bの運用が可能になれば、「攻撃型」以外の何物でもなくなります。
自民党は5月をめどに提言をまとめ、政府に提出する考えです。