2018年3月10日(土)
鉄鋼など輸入制限署名
米大統領 与党下院107人が撤回要求
【ワシントン=遠藤誠二】トランプ米大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置の発動を命じる大統領告示に署名しました。輸入増加が安全保障上の脅威だと主張し、15日後に鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を適用します。欧州連合(EU)や中国が反発しており、報復の応酬による貿易戦争への発展が懸念されます。
トランプ大統領は「真の友好国であり、貿易と軍事の両方でわれわれを公正に扱う諸国に対しては、大いに柔軟かつ協力的であることを示す」とツイートしています。日本などに今後の協議で、貿易不均衡の是正や軍事費負担の拡大を迫る可能性もあります。
カナダ、メキシコ両国には関税適用除外を認めましたが、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で要求が通らなければ、除外を打ち切る構えです。
関税適用は、安全保障を理由にした輸入制限を定めた米通商拡大法232条(国防条項)に基づきます。トランプ大統領は11月の中間選挙を前に、支持層の鉄鋼企業、労働者に強硬姿勢をアピールしたい考えとみられます。
ライアン下院議長はじめ多くの共和党議員が関税適用に反発し、同党の下院議員107人は7日、撤回を求める書簡をホワイトハウスに送付。同党のマコネル上院院内総務は8日、「私を含む上院メンバーは、今回の措置と、国民、経済におよぼす影響について懸念している」とコメントしました。
反対派は、鉄鋼等に高関税をかければ、製造コストが上乗せされ、結局、消費者にしわ寄せがいき、実質的な増税になると主張しています。