2018年2月26日(月)
シリア全土 停戦要求 安保理が全会一致で
人道目的30日間 実施時期は不透明
国連総長「履行速やかに」
【ワシントン=池田晋】国連安全保障理事会は24日、シリアのアサド政権軍の空爆で民間人の死傷者が相次いでいる問題をめぐり、人道支援を目的とした30日間の停戦を求める決議を15理事国の全会一致で採択しました。シリア全土が対象となるものの、実際に停戦がいつから可能になるかは見通せない状況です。
決議は非常任理事国のスウェーデンとクウェートが主導。首都ダマスカス郊外の東グータ地区で爆撃が連日続く中、調整が続けられ、最終的にアサド政権の後ろ盾になっているロシアも賛成に回りました。
決議は、軍に包囲された地域の市民らに支援物資を届けたり、重傷・重病者が同地域から退避したりできるように、全当事者に「遅滞なく」停戦を実施するよう要求。反体制派が立てこもる東グータ地区などに対する包囲を直ちに解くよう呼び掛ける一方、過激組織ISなどのテロ集団については停戦の適用外としました。
ロイター通信によると、決議案の採択直後も東グータ地区での空爆は継続しています。ロシアのネベンジャ大使は「安保理の要求には具体的な現場レベルの合意による裏付けが必要だ」と述べ、政権軍など内戦当事者による履行が欠かせないとしました。
決議には、停戦を履行させるため、全加盟国に当事者への影響力を行使するよう求める文言も入っています。
スウェーデンのスコーグ大使は、決議は包括的な和平合意ではなく、「純粋に人道目的のものだ」と強調。採択は「事態を好転させるチャンス」で、「国連救援団の派遣準備はできている」と述べました。
米国のヘイリー大使は、ロシアの「妨害」で採決が21日からずれこみ、被害が拡大したと批判する一方、決議は安保理の団結を示すもので「転換点になることを望む」と語りました。
国連のグテレス事務総長は「決議の速やかな履行と持続」を望むとして歓迎する声明を出しました。