2018年2月23日(金)
平昌発 鼓動 重ねた努力 国境超えた熱意
女子追い抜き 金
3人で組んで滑るスピードスケート女子団体追い抜きで21日、日本が念願の金メダルを獲得しました。
「みんなの力が一つになった」―。高木菜那選手がこう語れば、「一緒にたたかってくれた先輩に感謝の気持ちでいっぱい」とチーム最年少の佐藤綾乃選手。主軸の高木美帆選手は、「どこよりも多く練習してきた」と自信を見せました。
年間300日以上を共に過ごし、切磋琢磨してきた選手たち。積み重ねてきた努力、互いの信頼が一気に花を咲かせた瞬間でした。
団体追い抜きは3人で400メートルのリンクを6周し、3番手のタイムで競う種目。決勝は連覇を狙うオランダが相手でした。日本は残り2周の時点で0秒45のリードを許します。しかし、終盤オランダが失速するのに対し、日本はラップを上げ、そのままフィニッシュラインを滑り抜けました。手に汗握る展開に、観客は大歓声で両者の健闘をたたえました。
今季、日本は一気に飛躍しました。ワールドカップ(W杯)で3回、世界新記録を更新。そこには、ナショナルチームが3年前にオランダから招いたヨハン・デビットコーチの存在がありました。
「すべてにおいて100%でなければだめだ」。選手の「限界」を引き上げるため、心脈拍などの科学的データを示しながら「まだできる」と鼓舞。厳しい練習を課してきました。
オランダをライバルとして挑む日本の選手たちに、持てる知識とエネルギーのすべてを注ぎこんでくれたコーチ。その二人三脚が金メダルに実りました。
試合後、「歴史的なメダルだ」と選手をたたえたデビットコーチ。互いに認め合い、ともに高みを目指す両者の姿は、スポーツが国境を超えることを教えてくれました。
(栗原千鶴)