2018年2月19日(月)
3.3億人の女性・女児が貧困状態 国連の報告書
男女の格差是正求める
【ワシントン=遠藤誠二】国連ウィメンはこのほど、世界で女性のおかれた不平等な実態を告発する報告書を発表しました。2015年9月に国連の首脳会合で採択され、30年までに達成をめざす「持続可能な開発目標」(SDGs)の実現にむけ、ジェンダー(男女)間の格差是正に取り組むよう呼び掛けました。
「約束を実行へ、持続可能な開発目標におけるジェンダー平等」と題した報告書は、女性が男性に比べ厳しい状況下におかれていることを数字を挙げて示しています。
▽3億3000万人の女性・女児(89カ国)が貧困状態で暮らし、1日1・9ドル(約205円)以下で暮らす女性は男性より440万人多い。
▽途上国の都市部で暮らす女性の半数は、清潔な水、衛生状態の良い下水設備、耐久性のある住宅、広い生活空間を得ることができない。
▽30万人以上の女性が妊娠を通じて命を落としている。
▽過去1年間に、50歳以下の5人に1人の女性・女児が、パートナーから身体・性的な暴力を受けた。
▽男児の1・5倍にあたる1500万人の女児が小学校に通えていない。
報告書の発表を受け、国連ウィメンのヌクカ事務局長は、「ジェンダー格差を是正しない限り、国際社会は自ら課した約束(SDGs)を果たせない。報告は、行動を呼び掛ける差し迫ったシグナルだ」と強調しました。
報告書は対策として、▽初等教育への投資▽女性の雇用機会の増加▽全世界でのジェンダーに関するデータ収集活動の拡充▽ジェンダーに対応する投資・政策・プログラムの強化―が必要だと説いています。
国連ウィメン 男女平等と女性の地位向上を目指す国連の機関。正式名称は「男女平等と女性の地位強化のための国連機関」。2010年7月の国連総会決議に基づき、国連の女性関係の四つの機関・部局を統合して11年2月に創設されました。
持続可能な開発目標(SDGs) 2015年9月末に開かれた国連首脳会合で、全会一致で採択された開発目標。「誰も置き去りにしない」を合言葉に、30年末までに飢餓や貧困を根絶することなど17目標169項目を掲げています。