2018年2月14日(水)
社会保障を削り巨額投資・壁建設
米予算教書
財政赤字 １兆ドル規模に
【ワシントン＝遠藤誠二、池田晋】トランプ米政権が１２日、議会に提出した２０１９会計年度（１８年１０月～１９年９月）予算教書は、民生分野で予算を削りながら、財政赤字が１兆ドル（約１０９兆円）規模になると見込んでいます。
昨年末に決めた大規模法人減税による歳入減に加え、新たに１・５兆ドル規模の官民インフラ投資計画を打ち出し、均衡財政を重視する共和党の従来路線から転換しました。
財政赤字が拡大する一方、社会保障、外交、環境保護、科学関連予算は昨年に続いて軒並み削減。トランプ氏の「米国第一」の公約に予算を振り向け、社会的弱者や国際援助、地球温暖化対策には冷たい内容です。
経済政策では官民インフラ投資計画の呼び水として１０年間に計約２０００億ドルを計上。インフラ整備といいながら、全米を網羅する鉄道、アムトラック（全米鉄道旅客公社）への補助金は半減させます。
与野党の駆け引きが続く移民政策では、メキシコとの国境の壁建設で１６億ドルを計上しました。一方、不法移民の親に連れてこられた若者の救済策は盛り込んでいません。
軍事力や移民取り締まりを強化するかわりに、民生費を抑えます。高齢者・障害者向け公的医療保険（メディケア）など社会保障費は削減します。
開発援助金や国際機関への拠出金削減など国務省予算、環境保護にむけた各助成金の削減など環境保護局（ＥＰＡ）予算への「大なた」は、対外孤立主義、地球温暖化否定のトランプ政権の姿勢が鮮明に表れています。
省庁別では、国防総省（１３％増）、国土安全保障省（８％増）、退役軍人省（１１％増）の各予算が増加（１８会計年度比）する一方、厚生省（２１％減）、教育省（１０％減）、住宅・都市開発省（１８％減）、国務省・国際開発庁（２６％減）、環境保護局（３４％減）などは削減しました。
