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日本共産党

2018年2月2日(金)

主張

トランプ一般教書

軍事力重視と介入外交の表明

 トランプ米大統領は1月30日夜(日本時間31日午前)、連邦議会上下両院合同会議で就任後初となる一般教書演説をおこないました。11月の中間選挙を意識し“実績”の列挙に時間を割いた1時間20分余りと異例の長さでした。世界に対しては、就任以来の「米国第一」を随所にのぞかせつつ、議会に制限をつけない軍事費増を要求し、米国への批判を許さない介入姿勢を明らかにしました。

選挙意識し「成果」自賛

 一般教書演説の前半でトランプ氏は、「米国史上最大」の減税で、中間層や小規模事業者の基礎控除額が2倍になるなどと政権の「成果」を自賛しました。トランプ氏が誇る経済繁栄、株高や税制改革については、「大企業・金持ち優先」「すべての人に恩恵を与えていないことを認めるべきだ」との、格差是正を求める声があります。

 インフラ整備を経済政策の中心に位置づけ「1兆5千億ドル投資の法案」を議会に要請しました。昨年の「施政方針」演説で主張した1兆ドルの焼き直しです。財源への言及はなく、あったのは規制緩和の要求でした。

 注目された移民政策では、幼少期に親とともに入国した若者約180万人を「不法滞在」として強制帰国させるというこれまでの主張は内外から厳しい批判を受け、撤回しました。米国の市民権に道を開くことを表明しましたが、これと抱き合わせの形で、メキシコ国境との間での壁建設を要求しており、移民問題解決の方向は不明です。

 1年前の大統領就任演説にくらべ、反発を招くような文言は影を潜め、共和党主流派が容認できる方向への変化がうかがえ、中間選挙を強く意識したものとなっています。

 しかし、外交政策では、軍事力強化と米国の主張を押し付ける姿勢が浮き彫りになりました。トランプ氏は「比類ない力こそ国を守る確実な手段」として、軍への「十分な予算」を議会に要求し、核兵器の近代化を打ち出しました。

 北朝鮮の核・ミサイル問題で、これまで軍事的選択肢にたびたび言及してきたトランプ氏は、この日の演説では、「最大限の圧力をかける」と明言しました。イランに対しては、「米国はイランの国民とともにある」として、反政府行動への支持を表明しました。さらにアフガニスタンに米軍を増派すると主張しました。出口戦略なしの関与拡大として、アメリカ国内から早くも懸念の声が上がっています。

 重大なのは、エルサレムへのアメリカ大使館移設をすすめる考えを改めて示すとともに、国連総会で移設を批判した国はアメリカの対外援助の対象からはずすと言明したことです。この問題では日本政府もトランプ政権を批判する国連決議に賛成していますが、米国の主張への批判は許さないと大統領自ら宣言したことにほかなりません。

トランプ追随続けるのか

 トランプ氏は「アメリカ第一」をますます際立たせています。今回の一般教書演説でも、地球温暖化対策など世界が直面する問題での国際的協力についての言及はありませんでした。安倍晋三政権が「トランプ・ファースト」の姿勢で、追随を続けることの是非が鋭く問われています。


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