日本共産党

2007年参院選 個別・分野別政策/社会・教育・人権

【18】男女平等

「男女平等」からの逆行許さず、社会のすみずみに「両性の平等」を実現します

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 改憲運動の中心にいる「靖国」派勢力は、憲法24条にもとづく両性の平等、女性差別の撤廃を社会の目標にすることそのものを敵視し、激しい攻撃を加えています。07年2月に「美しい日本をつくる会」を発足させ、「個人の人格を破綻させ家庭を壊す男女共同参画社会基本法を廃棄しなければ、遠からず我が国は亡国の危機に直面する」と「基本法」廃棄の署名運動をよびかけ、4月には、女性差別撤廃条約が「いかに家族を破壊し、子供たちを不幸にしているのか」、条約の批准に問題があるとする「家族の絆を守る会」を設立しています。

 憲法が施行されて60年、世界は女性差別の撤廃が大きな流れです。女性の活躍の場は確実にひろがり、力を発揮しているにもかかわらず、国際的に改善が指摘されている民法や賃金格差など、女性の人権と地位向上の遅れは放置できない課題です。

 戦前の価値観・家族観を日本社会に押しつけ、浸透をはかる、歴史逆行の危険な動きを許さず、男女の平等な社会を実現するために力をつくします。

女性差別撤廃条約に反する民法を見直し、改正をすすめます

 民法には夫婦同姓制度、再婚禁止期間、婚姻最低年齢など女性差別的な条項が残されています。国連など国際機関から社会全体の根本問題として繰り返し批判され、改善が勧告されています。こうした明治時代の民法をひきつぐ規定は、10年前の法制審議会で改正が答申されているにもかかわらず、「靖国」派の反対で実現していません。選択的夫婦別姓制度、再婚禁止期間短縮、婚姻最低年齢の男女同一などをすすめます。離婚後300日以内に出生した子は前夫の子と推定するという規定と現実との矛盾から子が無戸籍になっている問題の解決を急ぎます。

 女性差別撤廃条約の批准国にふさわしい実施の責任をもとめ、男女共同参画社会基本法や計画、男女雇用機会均等法などの充実をはかります。パートの均等待遇を求めたILOパートタイム労働条約、権利侵害を国連に通報できる制度を定めた女性差別撤廃条約選択議定書など未批准の条約を批准します。

パートや派遣社員などへの均等待遇の法制化をすすめます

 女性の雇用労働者の54%は、パートや派遣社員などの非正規雇用労働者です。パートの平均賃金は時給940円、正規雇用の女性の7割などとされている低賃金を改善し、最低賃金を引き上げ、不当な差別や格差を禁止し、均等待遇をはかります。妊娠・出産による不利益扱いがいまだ横行していますが、均等法による企業への指導を強め、パートや派遣、有期雇用労働者の育児休業制度取得のきびしい条件を抜本的に見直し、取得しやすい制度に改善します。一方的な雇い止めを規制し、希望する人に正規雇用への道をひろげます。違法な働かせ方をなくすため、指導・監督、相談・苦情処理の体制を強化します。

職場の男女差別の是正をはかります

 男女雇用機会均等法の施行から20年余、この間、実効ある改正を求める世論と運動で募集、採用、昇進・昇格差別等が禁止されました。07年4月からは、結果として差別になるようなとりあつかい、「間接差別」が一部禁止されました。しかし、男女の賃金格差は正社員でも65%、パートをふくめれば5割、女性の管理職の比率はいまだ1割など、改善は遅々としています。世界からも大きく立ち遅れています。改正法をいかし、企業への指導を徹底するとともに、早急に間接差別の範囲の見直し、強力な救済機関や罰則の設置など、実効性を高める抜本的な改正をはかります。出産・育児等で退職した女性の経験や実績を生かせるよう、再就職への支援、職業訓練への助成拡充、正規雇用での再就職を促進し、不利益や差別をなくします。

自営業・農業女性の労働を正当に評価し、支援します

 商工自営業や農業を支える家族従業者の多くは女性です。その働きを正当に評価しない税制のしくみを改善します。出産や病気の時の出産・傷病手当金の給付、「出産ヘルパー」「酪農・農業ヘルパー」の実施などで、安心して休めるようにします。自営業・農業女性の仕事と健康の実態調査をおこないます。起業を望んでも、資金不足や家庭・子育てとの両立の問題などで女性ならではの困難を前に断念・廃業も少なくありません。起業に関する知識、情報提供、相談窓口や低利融資の拡充、子育てとの両立支援をすすめます。農産物加工技術の研修や販路の拡大などを支援します。農家の家族経営協定締結を促進します。

母子家庭の生活と就労支援を強めます

 母子家庭の所得は約233万円、全世帯平均の4割にすぎません。母子家庭の母親の8割が働いていますが、年々非正規労働者がふえて常用雇用を上回るようになっています。母子家庭は生活が「苦しい」と感じる人が8割にのぼっています。母子家庭の「命綱」ともなっている児童扶養手当の改悪による支給額の減少、生活保護の母子加算の削減、増税や社会保障の削減など国と自治体による悪政が、母子家庭のくらしを直撃しています。自民、公明、民主党などが02年の国会でおこなった児童扶養手当を08年度から最大で半分に減らすとした制度の改悪を中止します。額の引き上げと対象の拡大をはかります。

 政府は、生活保護の母子加算を3年後までに全廃しようとしています。これを中止し、支給年齢を18歳までに戻します。

 母子家庭にとっては長期の安定した雇用が切実です。パートタイムで雇用している労働者を正規雇用に転換した事業主にたいする奨励金を増額し、正規雇用への道を拡大します。母子家庭の母親が、仕事と子育てをしながら資格取得や技能訓練をするにはその間の経済的保障などの支援が必要です。資格取得や技能訓練費などの国の援助額をひきあげます。安価で良質な公共住宅を供給します。 

安心して仕事も子育てもできる労働条件に改善します

 1人目の出産で7割が退職しており、妊娠・出産で退職せざるをえない状況が続いています。妊娠・出産による不利益な扱いを禁止した改正均等法をいかし、企業への指導を強めます。育児休業制度を改善し、保育所に入れないなどの事情がある場合の休業期間の延長、所得保障6割への改善、パートや派遣、有期雇用へのきびしい条件の見直し、勤務時間短縮や時間外・深夜労働免除制度などを拡充します。

 長時間労働を規制せず、企業の競争力強化を目的として国と財界がすすめる「ライフ・ワーク・バランス」では、不安定雇用をふやし、安心して働き続ける条件をせばめます。残業時間の上限規制など長時間労働を是正します。

保育所・学童保育所などの拡充をすすめ、働く女性を応援します

 政府がすすめる「待機児ゼロ作戦」は定員オーバーの詰め込みです。入所を希望して入れない待機児童の数は3万9千人にものぼっており、解消していません。国・自治体の責任で「保育所整備計画」をつくり、保育予算を抜本的に増額し、認可保育所の新・増設をすすめ、待機児童の解消をはかり、希望する子が入れるようにします。延長・夜間・休日・一時・病後児保育等を拡充します。保育料、幼稚園教育費の父母負担の軽減をはかります。

 保育条件を切り下げる民営化・民間委託に反対します。

 国や自治体の責任を後退させる保育所直接入所方式の導入や最低基準の切り下げを許しません。

 学童保育は、子どもたちが「遊びと生活の場」にふさわしく安心して生活できるよう量質ともに整備します。設置基準を定め、大人数・過密化をやめ、専門の指導員の常勤・複数配置などをすすめます。

生涯をつうじて女性の健康を保障する総合的な対策をすすめます

 女性の体、性差を配慮した医療の発展をはかり、健康相談、健康診断を充実させます。公的病院の女性専用外来の開設を促進します。

 骨粗しょう症など女性に圧倒的に多い疾病の予防・検診を充実させます。

 乳がん、子宮がん検診費用の自己負担の軽減・無料化、マンモグラフィの導入を促進します。

 乳がんや子宮がん手術後のリンパ浮腫の治療への保険適用をすすめます。

 若い世代で増加している性感染症の予防のためにも性教育や医療関係者による相談活動などをすすめます。

 長時間の残業や深夜労働による過労やストレスで体調を崩す女性が増え、精神疾患の労災認定も急増しています。生理休暇取得率は1.6%まで低下し、月経障害や不妊に悩む女性が少なくありません。長時間労働の是正など職場環境の改善をすすめます。

 気兼ねなく生理休暇を取得できるよう企業への指導を強化します。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。企業の定期検診に女性関連項目を加えます。

妊娠から出産までの費用の軽減をはかります

 高齢妊娠、ストレスをかかえる妊婦なども増加しており、母体や胎児の健康のための妊婦健診はいっそう重要になっています。経済的負担の心配なく、妊婦健診を受診できるよう公費負担を、現在の5回分から、政府がのぞましい健診回数としている13〜14回分に拡充します。

 出産育児一時金を増額します。パートなど非正規、業者、農業など、就労形態を問わず産休中の所得を保障することをめざします。高額な費用がかかる不妊治療の助成額の増額、所得制限の緩和をはかるとともに健康保険の適用をめざします。

産科・小児科医不足の打開をはかります

 深刻な産科・小児科医不足は国の責任です。切り捨てられた公的病院の産科・小児科の早期復活をはかります。産科・小児科の診療報酬を引き上げます。女性医師の数は増加し、産科では30歳未満の医師の7割は女性です。しかし、労働条件の厳しさ、仕事と家庭の両立の困難から多くの女性医師が退職せざるをえない状況です。職場内保育所の設置、妊娠中の当直免除、産休中の身分保障、育児休業中の代替要員の確保・現場復帰後の保障など、家庭生活との両立支援をはかります。産休・育休後の研修制度の充実をはかり、退職後の復帰を保障するようにします。

女性の年金の改善をすすめ、高齢期を安心して暮らせるようにします

 女性は男性よりも平均寿命が長く、65歳以上では6割弱、85歳以上では7割強をしめています。また65歳以上の一人ぐらしの7割強が女性です。

 女性の地位の低さはそのまま高齢期の生活に影響し、多くの女性が低額年金、無年金の状態におかれています。女性の厚生年金平均受給額は男性のほぼ6割の11万円です。国民年金平均受給額は4万9000円です。全額国庫負担の最低保障年金制度の確立で低額年金の底上げをはかります。

 男女賃金格差の改善、パート労働者と正規労働者の均等待遇をすすめます。

 パート労働者の社会保険加入の権利を保障し、企業による保険料負担逃れのための未加入の解決をはかります。2つ以上の職場をかけもちするパート労働者の社会保険加入の権利を保障します。

 サラリーマン世帯の専業主婦の保険料は「応能負担の原則」で高額所得の夫に負担を求めるしくみにします。

 遺族年金は女性が働き納めた保険料が受給額に反映できるよう改善の方向を検討します。

DV被害の防止・自立支援を充実させます

 06年度に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV相談は5万8000件で過去最高になっています。しかし、増加するDV被害の訴えに、相談窓口・一時保護・自立支援施設など必要な体制が追いついていません。国の予算を大幅にふやし、配偶者暴力相談支援センターの増設と施設条件の改善、民間シェルターへの委託費の増額と運営費への財政的支援、被害者が自立の準備をするためのステップハウスへの助成をはかります。

 公営住宅優先入居や自立に要する費用援助をすすめます。

 子どもの心身のケア、加害者更生についての調査研究と対策強化をすすめます。暴力を許さない社会的合意をつくります。

セクシャルハラスメントを根絶します

 女性労働者から雇用均等室によせられた相談は8000件(06年)にのぼり、セクハラの相談が増加しています。企業のセクハラ防止対策、行政による相談や支援の体制を拡充します。

 均等法にセクハラの禁止、被害者への解雇や不利益扱いの禁止を明記させます。改善命令をだせる機関の設置、被害者の保護、相談窓口の拡充などをすすめます。自衛隊でのセクハラ・わいせつ暴行問題は、重大な人権侵害であるセクハラへの国の認識の低さを露呈しました。政府・防衛省みずからが厳正な対処をすすめるべきです。

 人身売買被害者の保護・人権擁護の体制を拡充します。

 雑誌やインターネット、メディアなどには性を商品化するような写真、記事、動画などが氾濫しています。女性を蔑視し、人格をふみにじる文化的退廃を許さず、人権尊重の世論と運動をひろげます、

女性の政策・意思決定機関への参加を促進します

 日本は、女性の社会的地位を平均寿命や教育普及、所得水準などにもとづいて算定した指数では世界13位ですが、国会議員・企業管理職などへの女性の進出度は、75カ国中42位と、先進諸国では最低です(2006年、国連開発計画)。国家公務員の女性管理職割合は、1995年の1.0%が2005年に1.8%と、わずか0.8%増加しただけです。民間企業の女性管理職も1割前後で低迷しています。政府は、男女共同参画基本計画で2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にするという目標をかかげています。政府がその目標の実現に直接責任をもつ女性国家公務員の管理職への登用をすすめ、民間企業への指導の徹底など、目標達成をはかることを求めます。

 審議会などでの女性の登用にかんしては民主的で公正な人選が必要です。極端な兼任、政府の施策立案に都合のよい委員の登用はやめます。

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