日本共産党

2007年参院選 個別・分野別政策/くらしと経済

【8】エネルギー問題

自然エネルギーの開発・利用を広げ、原発依存のエネルギー政策を転換します

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 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤であるにもかかわらず、日本のエネルギー自給率はわずか6%(2005年度)にすぎません。

 イラク、イランなど中東情勢の緊張や、中国やインドなど発展を続ける途上国のエネルギー需要の増加、先物取引などの投機によって、石油や天然ガスの高値が今後も続くとみられています。政府は、灯油などの小売価格の便乗値上げを監視するとともに、備蓄を機動的に使うことや、自治体が冬季に実施している福祉灯油制度への助成を準備するなど、国民生活を守るための対策をとるべきです。

 エネルギー問題は、地球の温暖化対策とも密接な関係があります。日本は、京都議定書にもとづいて2010年前後までに二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量を、1990年比で6%削減する義務があります。その日本の目標は、達成が危機的状況にあります。政府は原発の新増設を頼みの綱としていますが、原発は安全性に問題があり、原発に依存するのではなく自然エネルギーの導入に本腰を入れるべきです(→温暖化対策全般については、個別・分野別政策の環境の項を参照)。

 省エネの徹底やエネルギー効率の引き上げによって低エネルギー社会を目指すとともに、日本の条件にあった自然エネルギーの開発・利用を計画的に拡大することで、エネルギーの受給率の引き上げをはかります。

太陽光・熱、小水力、バイオマスなど自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進します

 地球の温暖化防止のためにも、エネルギー政策はかなめです。エネルギーの自給率を引き上げ、また地球温暖化対策をすすめるためには、エネルギー効率の徹底した向上とともに、環境に配慮した自然エネルギー源の開発・利用に本格的にとりくむ必要があります。風力や太陽光・熱、地熱、小水力、波力や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、まさに地域に固有のエネルギー源です。そこから得られる電気やガスを販売することで地域に新たな収入が生まれます。事業の成果や副産物を地元に還元したり、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出すことで、地域経済の活性化に役立ちます。

 2020年の一次エネルギーにおける自然エネルギーの割合を15〜20%に引き上げることをめざし、自然エネルギーの開発・利用のとりくみを強めます。導入目標の大幅な引き上げ、固定価格による電力の買い取り制度を導入など、自然エネルギーの普及にとりくんでいる人たちの声を反映させ、意欲の出る制度に改善します。廃棄物発電は、林業の廃材や加工くずなどに限定し、廃プラスチックなどを大量に燃やすやり方は対象外にすることが必要です。小規模・分散型という特徴をもつ自然エネルギーを利用して発電した電力を利用し、既存の電力供給システムに組み込んでいく系統連携のやり方についても、地域での先行的なとりくみをやりやすくするために、制度の改善や財政的支援を自治体や政府に求めます。

 自然エネルギーの設備設置への補助を手厚くし、発電量に応じた助成の創設を求めます。原子力のために巨費を注ぎ込んでいる電源開発促進税や、石油関係諸税などの税制の見直しを前提に、化石燃料の消費や自動車などがもたらす環境への負荷も考慮し、二酸化炭素の排出量などに着目した環境税の導入によって、自然エネルギー促進のための財源の充実をはかります。

バイオ燃料は、食料と競合しない植物資源を使い、国内産・地域産の資源を優先活用します

 近年、原油価格の高騰などを背景に、世界各国でバイオエタノールの生産が急増しています。最大の生産国・アメリカではトウモロコシ原料のエタノール生産が前年比3割増となり、2017年には05年比で10倍にするというブッシュ政権の計画のもと、エタノール工場の建設ラッシュが続いています。

 この動きは、トウモロコシの需給をひっ迫させ、国際価格をこの1年で倍近くに高騰させました。それが隣国メキシコでは庶民の食生活を直撃するなど、バイオエタノールの開発が、途上国や低所得者の食料を脅かしています。日本でも、トウモロコシの輸入価格が大幅に上昇し、飼料や多くの食品に影響が出ています。

 バイオエタノールは、地球温暖化対策に役立ちますが、原料となるサトウキビ生産の拡大やパーム油生産のためのヤシ農園の建設による熱帯林の破壊が、各国で新たな環境破壊として問題になっています。

 日本政府は、エタノールを含むバイオ燃料の利用促進を打ち出していますが、その大部分は輸入を見込んでいます。二酸化炭素の排出削減をいいながら、二酸化炭素の吸収源である森林を破壊するのでは、地球環境にやさしいエネルギー開発とはいえません。

 日本共産党は、バイオ燃料の開発・導入を自然エネルギーの重要な柱であると考えています。その具体化にあたっては、食料需要と競合しない植物資源に限定する、国内産・地域産の資源を優先的に活用する(「地産地消」)、生産・加工・流通・消費のすべての段階で環境を悪化させない持続可能な方法を採用するなど、新たな環境破壊をひきおこさないためのガイドラインをもうけるよう政府に要求します。

プルトニウム利用をやめ、原発からの段階的な撤退をすすめます

 政府と電力会社が温暖化対策を口実に新増設を図っている原発は、十分な安全の保証がなく技術的に未確立です。磨耗した配管の破裂で死傷者を出した美浜原発の事故(2004年)にひきつづき、冷却用海水温のデータねつ造が明るみにでただけでなく、臨界事故を志賀・福島の各原発が起こしたことを隠していた事実が次々と発覚しました。経済産業省の指示で電力会社が行った調査の結果報告(07年3月)によれば、問題事例が全体で1万件をこえ、うち原子力関係が455件もあるという驚くべき数に上りました。ルール違反の横行とずさんな検査体制や経営・管理の実態は深刻です。さらに東海地震の想定震源域の真上に浜岡原発が存在するような政府・電力会社の原発立地のあり方は、無謀としかいいようがありません。放射性廃棄物の処理と万年単位の管理の問題、莫大な費用がかかる問題など、多くの問題が解決されないままです。

 こうした問題を抱えた原発から、計画的に撤退すべきです。原発の危険性を増幅するだけのプルサーマル計画や高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開計画は撤回し、六ヶ所再処理工場をはじめ核燃料サイクル施設の総点検を実施し計画を中止すべきです。原発の総点検をおこない、老朽原発をはじめ安全が危ぶまれる原発については、運転停止を含めた必要な措置をとらせます。

 政府は、自治体にプルサーマル実施の許可や、高レベル放射性廃棄物の最終処分場への応募をうながし、受け入れれば手厚い補助金を出すとしていますが、補助金と引き換えに住民に危険を押しつけるようなやり方はやめるべきです。

 安倍内閣は、「原子力立国」をかかげて原発の輸出や核燃料供給を目指していますが、国内外で、安全を軽視した原発の新増設をすすめることはやめるべきです。

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