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2025年1月11日(土)

きょうの潮流

 「人間が人間を殺しあう戦争は絶対に起こしてはいけない。戦争はダメだと声を大にしていいたい」▼東京・新宿区にある平和祈念展示資料館でシベリア強制抑留の語り部活動を続ける西倉勝さん(99)の戦後80年の願いです▼終戦年の1945年1月末朝鮮北部の第七十五連隊に配属された西倉さん。「ソ連の参戦に備えて山の中に陣地を構築するよう命じられた。敵前上陸するから、山を下りてこいと言われたのが8月18日。まさか降伏したとは思わなかった」と▼武装解除され「日本に帰される」と思い、歩いてウラジオストクまで行ったものの、貨車に放り込まれました。「磁石を持っていた兵士が『だまされた。シベリアだ』と落胆した声が今も耳に残っている」といいます。ラーゲル(収容所)に3年いました。「歩哨が門に立っていて、逃げられない“格子なき牢獄(ろうごく)”。『ここで死んでたまるか。シラカバの肥やしになるまい』と生きて帰ることだけを考えた。20歳から23歳まで青春を奪われた」▼零下20度での道路づくりなどいろんな強制労働がありました。労働に応じた食事は、黒パンと馬のエサ同様のコーリャンや粟(あわ)。飢えに苦しみ、食べるものがないので野にあるタンポポまで煮て食べたといいます▼いまも世界では各地で戦火が続くなか、戦争で捕虜になる敗戦国兵士の人権や人道的処遇は今日的課題です。現在の国籍を問わずにシベリア強制抑留者を救済して、悲惨な歴史と反戦の思いを継承することは国の大事な責務です。


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