2025年1月8日(水)
主張
辺野古米軍新基地
阻止へ世論広げ政治動かそう
日米政府が沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)の返還条件とする辺野古新基地(名護市)建設で、防衛省が大浦湾側の埋め立て工事に着手して1年がたとうとしています。しかし大浦湾側の埋め立て予定海域を囲む護岸の造成工事が大幅に遅れるなど、早くも計画通りに進んでいない実態が明らかになっています。
■完成のめどなし
防衛省は昨年1月10日、大浦湾で、資材などを置く海上ヤードの設置工事を始め、埋め立て工事に着手しました。8月20日には、護岸(A護岸)の造成工事を開始。同護岸の造成には約1000本の鋼管(金属製のくい)を打ち込むことが必要とされます。
ところが日本共産党の赤嶺政賢議員の国会質問で、鋼管は昨年11月末までに29本しか打ち込めておらず、最も多く打ち込んだ月でも9本にとどまっていることが分かりました(昨年12月12日、衆院安全保障委員会)。赤嶺氏は、防衛省は残り2年11カ月で同護岸の造成を完成させる計画だが、このままのペースだと鋼管の打ち込みに10年かかる計算になると指摘しました。
防衛省は、台風の直撃や接近などを遅れの原因にしています。しかし、沖縄は台風の常襲地域で、今後も遅れが出るのは必至です。
防衛省は、同護岸の完成後も、埋め立てに1年6カ月、航空基地としての関連施設整備に4年を要するとしています。
同省は昨年12月28日、大浦湾側の埋め立てのため、海底に広がる軟弱地盤の改良工事に着手しました。地盤の強度を高める改良工事では約7万1000本の砂ぐいなどを打ち込む計画で、重大な環境破壊をもたらします。最深で海面下90メートルに達する軟弱地盤の改良は国内初で難工事が予想されており、予定通り進む保証はありません。
防衛省は昨年1月10日を起点に、新基地を完成させて米軍に引き渡すまでに12年かかるとしています。しかし、12年どころか、完成のめどさえ立っていないのが実際です。辺野古新基地への固執は、“世界一危険”な普天間基地の恒久化につながるだけです。
■総工費も大幅超
石破茂政権が決定した2025年度予算案は、辺野古新基地建設費として歳出ベースで706億円を計上しました。報道によれば政府が新基地の総工費として試算した9300億円のうち、約81%の7543億円を25年度までに支出することになるとしています。一方、これまで埋め立てに用いた土砂量は計画全体の15%です(琉球新報昨年12月29日付)。総工費が9300億円を大きく超過することは間違いありません。
計画の破綻は明瞭です。石破政権は工事を直ちに中止し、普天間基地の無条件撤去に踏み出すべきです。
大浦湾側の埋め立て工事は、政府が、沖縄県の権限を奪い、軟弱地盤の改良に必要な設計変更の承認を代執行したのを受けたものです。強権によって沖縄の民意と地方自治を踏みにじった暴挙でした。
自民・公明の与党は今、衆院で少数派です。全国で辺野古新基地反対の世論と運動を大きく広げれば政治を動かす可能性が生まれています。日本共産党もそのために全力を尽くします。