2025年1月3日(金)
主張
戦後80年の選択
日米同盟絶対か、平和の道か
今年は、アジア・太平洋地域で侵略戦争を重ねた軍国主義・日本の敗北から80年です。この節目の年に、日本は痛苦の教訓から真摯(しんし)に学び、間違いのない道を歩んでいるのか、厳しく問われています。
戦後、世界の諸国民は、「言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」(国連憲章)ために、軍事同盟でなく、世界の平和と安全を維持する国際機構・国連を創設し、武力行使を禁止しました。日本国民は「政府の行為によって再び」戦争をおこさない決意を固め、憲法9条を手にしました。
■戦犯者による従属
日本は、戦前の天皇制権力による専制政治から主権在民の民主政治に変わりました。このとき、何よりも「過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は、永久に除去」(ポツダム宣言)するため、戦争責任を徹底的に明らかにすべきでした。
しかし、米占領軍は、日本をアジア戦略の砦(とりで)とするために、戦争責任の追及をあいまいにするだけでなく、みずからの支配に役立てるために、軍国主義日本の支配層を温存しました。
アメリカの庇護(ひご)のもと、戦争協力者たちが自民党総裁になるなど戦後日本の支配層の中枢を占めたことは、他に例をみない国家的な対米従属を決定づけ、今日の日米同盟絶対の政治の深淵(しんえん)になっています。
釈放されたA級戦犯容疑者の岸信介氏が首相になり、新安保条約を結んだのはその象徴です。安保闘争で国民的批判を受けた岸元首相を「誇らしく」見ながら育った孫の安倍晋三元首相が、憲法を「みっともない」と漫罵(まんば)しながら、「戦後レジームからの脱却」をかかげ、アメリカの戦争に加担する「戦争する国」づくりを推進してきたのは、偶然ではありません。
これに立ちはだかってきたのが、国民の世論と運動です。戦後80年の歴史は、侵略の歴史を反省しないまま日米軍事同盟を絶対視し、「敵基地攻撃」を公言するなど戦争への道をすすむ勢力と、憲法を生かし、独立、平和、民主主義を求める国民との闘いの歴史でもありました。
■歴史問題の解決を
いまアジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)が軍事的対決の道でなく包摂的な平和の構想を提唱するなど、平和の流れが大きく発展し、世界的には植民地支配への謝罪が広がっています。
しかし、過去とまともに向き合ってこなかった日本政府は、近隣諸国と侵略戦争や植民地をめぐる問題を繰り返しています。平和の流れを東アジアで発展させるために歴史問題を解決することは避けられません。
「植民地支配と侵略」への反省を表明した村山談話、「慰安婦問題」について軍の関与と強制性を認めた河野談話、植民地支配への反省を表明した日韓共同宣言など歴史に向き合った到達を継承し、侵略戦争と植民地支配への根本的清算にすすむべきときです。こうしてこそ心の通うしっかりした平和、友好、協力関係を構築できるでしょう。
歴史問題は、過去の問題でなく、まさに平和な未来を切り開く現在の課題です。日本共産党は侵略戦争に命がけで反対した党として、力を尽くします。