2024年11月19日(火)
主張
ニセ政治改革30年
いまこそ主権者の意思反映を
裏金問題への厳しい批判で少数与党となった石破茂政権のもとで政治改革が熱い焦点になっています。企業・団体献金禁止を小選挙区制導入にすりかえた「政治改革法」が成立して30年。今度こそ、国民の願いが届く政治へ―政治改革を前に進めるときです。
■企業献金の禁止を
政治改革は、カネで政治をゆがめる金権腐敗政治の一掃を求めるものです。憲法前文で明記されているように「正当に選挙された国会における代表者」を選ぶ、議会制民主主義の根本にかかわる問題です。まっすぐに主権者の意思が政治に反映することが求められます。だからこそ主権者ではない企業・団体がカネの力で政治をゆがめる献金は厳しく禁止されるべきものです。
1980年代末から90年代、リクルート事件などで金権政治への批判が高まったとき、「非自民・非共産」8党派の細川護煕連立政権のもとで、連立与党と自民党が、「政治改革法」を強行成立させました。
それから30年。金権腐敗政治は続き、自民議員にヤミ献金した日歯連事件、甘利経済再生担当相の金銭授受事件からパーティー券裏金事件などが相次ぎました。企業・団体献金を手にしながら、廃止の代わりといって導入された巨額の政党助成金を受け取り続けています。
小選挙区制で、自民党は絶対得票率20%台でかすめとった多数を力に国政を牛耳ってきました。政党の劣化もいちじるしく、国会審議も形骸化が進行しました。モリカケ、サクラ、元検事長の法解釈を曲げた定年延長問題など目を覆いたくなるような政治の私物化、「法の支配」の破壊もすすみました。
国民の意思と国会の乖離(かいり)がすすむもとで、法人税減税など大企業優遇、アベノミクスのごり押し、安保法制の強行など国民を犠牲にする政治がおこなわれてきました。
■大きな変化生かし
同時にこの30年の歩みは、大きな変化も生み出しました。かつて企業・団体献金の禁止をかかげたのは日本共産党だけでした。しかし、今日では立憲民主党や日本維新の会も含め、多くの野党の共通の要求になっています。国民世論も企業・団体献金を「認めない方がいい」79%(「朝日」4月11日付)と明確で、総選挙での審判となったのです。
それにもかかわらず石破首相は先日の会見でも、企業・団体献金を「国民からの浄財の一部」などと擁護して恥じません。しかし、そんな強弁が簡単には通用しにくくなっています。
30年前、企業献金を容認し、小選挙区制を導入した際の国会では、議席の9割以上が悪政推進派となる、戦後前例のない翼賛体制が形成されていました。今日、自公を少数与党に追い込んだ国会の風景は、大きく違っています。
国民の世論と運動と結んで、国会内外の共同したたたかいで企業献金禁止などの要求が実現する新しい政治的条件が生まれています。このもとですべての政党がどういう態度をとるか、厳しく問われます。
日本共産党は政治改革の大道―企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を求め、奮闘します。