2024年11月16日(土)
日本共産党が全国都道府県委員長会議開く
「新しい政治プロセス」―国民と共に前に動かそう
都議選・参院選勝利へただちに実践へ 党建設と一体に「650万・10%以上」を
田村委員長が報告
日本共産党は15日、総選挙を受けた全国都道府県委員長会議をオンラインで開きました。田村智子委員長が、(1)「新しい政治プロセス」と日本共産党の基本姿勢(2)日本共産党の総選挙結果についての中間的総括(3)都議選・参院選勝利をめざす活動と党建設を一体にすすめる―の3点を報告しました。(田村委員長の報告全文)
|
田村氏は、「新しい政治プロセス」と党の基本姿勢について、「総選挙結果の全体を大局的にとらえることが大切だ」と指摘し、その中心点について述べました。第一に、選挙結果は自民・公明政権に対し国民が歴史的に審判を下したものであり「この審判をわが党は心から歓迎する」と表明。同時に、この政治的激動をつくりだす上で、日本共産党と「しんぶん赤旗」が大きく貢献したとして「誇りを持って国民のなかに打って出ることが重要だ」と訴えました。
第二に、「自民党政治に代わる新しい政治」の中身について、「国民が選挙で結論を出しているわけではない」として、「このことをよくみて今後の政治に対応することが求められる」と指摘。国民は自民党に代わる何らかの選択をしたわけでなく、「過渡的段階」が始まったものだと強調しました。
第三は、「新しい政治プロセス」に対するわが党の基本姿勢は「『国民が主人公』の政治実現に向けて国民とともに前に動かすこと」だと語り、これを堅持し意気高く新しい情勢にのぞむ重要性を説きました。
田村氏は加えて、「新しい政治プロセス」のもとで各党の真価が試されると指摘。自民党政治から抜けだしたいという「ベクトルの向きははっきりしている」として、「大局的には国民の認識が、さまざまな政治的体験を通じて日本の政治の『二つのゆがみ』を正すわが党の綱領路線に接近していく可能性、必然性を持っている」と強調。同時に「『新しい政治プロセス』は自動的に進まず、実現に実を結ぶには、国民的なたたかい、党の主体的、攻勢的なたたかいが決定的な意味をもつ」と述べました。
第四は、「新しい政治プロセス」について、2007年の参院選で自民党が大敗し、「衆参ねじれ」現象が起きた時と今回の違いとして、(1)自民党のモラル劣化、内政・外交での政治的行き詰まり、政治基盤の衰退が格段に進んでいる(2)「新しいプロセス」の扉を開けたのは日本共産党と「しんぶん赤旗」(3)衆院での自公少数への転落は参院少数転落とは比較にならないほど深刻―の3点を列挙。「総選挙での党の後退は大変悔しく残念だが、『新しいプロセス』の最初の一断面であり今後の奮闘次第で政治的力関係は変わりうる」と力を込めました。
田村氏は、「新しい政治プロセス」を国民と前に動かすための党の基本姿勢として「二重の構え」を貫くことをよびかけました。一つは、企業・団体献金禁止、選択的夫婦別姓制度導入をはじめ「国民要求にもとづく運動をあらゆる分野で起こし実現へ力をつくす」ことです。
もう一つは、自民党政治に代わる新しい政治とは何かを国民の模索と探求にこたえ「綱領を手に語り合う宣伝・対話」の運動に取り組むことです。
田村氏は、「新しい政治プロセス」を前に進める推進力は、「日本共産党の政治的躍進と強く大きな党をつくることだ」と強調。「都議選、参院選での躍進、強く大きな党づくりを力に『新しい政治プロセス』を前に進める推進力として太く位置付け、何としてもやり遂げよう」とよびかけました。
日本共産党の選挙結果の中間総括で田村氏は、「裏金問題の追及などで大きな役割を果たしながら、なぜ議席が後退したのか」について、現時点で間違いなく言える点として報告しました。
政治論戦については、29回大会決定の総選挙方針である「二つの政治姿勢」―(1)国民の切実な要求と結びつけて日本の政治の二つのゆがみを「もとから変える」党の綱領的値打ちを太く押し出す(2)党の綱領と組織のあり方への攻撃を打ち破って党への丸ごとの支持を広げ積極的支持者を増やす―にてらして報告。田村氏は、「政治論戦は全体として的確なものだったと考える。問題はその内容を多くの国民に伝えることができなかったことだ」として「その根本的な原因は国民に伝える活動の総量が足りなかったことであり、その根本には党の自力の問題がある」と述べました。同時に、「活動の仕方―質を改革する必要がある」「『共産党ならではの豊かな発信方法』をつくり出す改革に挑みたい」と述べました。
また、29回大会決定で総選挙躍進にむけ独自の取り組みをよびかけた「三つの突破点」のうち、▽「折り入って作戦を選挙勝利と党勢拡大の要として位置付ける▽SNSを選挙戦勝利の大戦略とする―の二つの点で中央のイニシアチブに弱点があったと率直に語りました。
「日本共産党の得票と議席の後退の最大の原因は自力の不足であることを直視しなければいけない」―こう述べた田村氏は、29回大会の最大の任務として、党勢拡大に努力してきたことの意義を説明。しかし、大会後に新たな党員を迎えた支部は15・5%にとどまっているとして、「支部の困難が質的に極めて厳しいものになっている」「これを直視し、現状を打開する党建設に全力をあげて取り組むことが来年の都議選、参院選勝利に不可欠。綱領路線を実現する中長期の展望になって党の未来を開くうえで死活的課題であることを選挙戦の最大の教訓として銘記したい」と強調しました。
都議選・参院選勝利をめざす活動と党建設についての基本方針について田村氏は、参院選では、「比例を軸に」を貫き、「650万票、得票率10%以上」、比例代表で改選4から5への議席増、選挙区では現有議席(埼玉、東京、京都)絶対確保と議席増の目標を発表。都議選では、「全党的課題として位置付け、現有19議席を絶対確保し議席増に挑戦する」と報告しました。
選挙勝利をめざす活動について、「三つの突破点」をただちに具体化、実践しなければならないとして、(1)全有権者規模の宣伝に打って出る(2)対話・支持拡大をただちに開始し、訪問対話での「折り入って作戦」をスタートさせる(3)「SNS」に強い党を早い段階でつくりあげる―ことをよびかけました。
党建設の目標について、党員―11月に1000人、12月に2000人をむかえ、29回大会現勢回復をめざす、青年・学生分野では、学生党員で4年連続の現勢前進を勝ちとる、「赤旗」読者は11、12両月で29回大会時の読者数回復、すべての都道府県が日刊紙、日曜版とも2中総(4月1日)時点の読者数回復・突破―などを提起。そのための強調点として(1)年内に100万人の後援会員・「赤旗」読者に働きかける「第1次・折り入って作戦」と一体に党勢拡大の独自追求を強める(2)各分野の切実な要求を実現する運動と結んで党勢拡大をすすめる(3)選挙ボランティアを日常的に広くよびかけることと結んで世代的継承を中軸とする本格的な党づくりに挑戦する(4)党の質的強化をはかり、理論的・政治的に強い党になる―ことを挙げました。
選挙と一体の党づくりただちに
田村委員長が討論まとめ
全国都道府県委員長会議では、討論で31人が発言しました。
田村智子委員長が討論のまとめにたち、発言と中央委員会に寄せられた感想の特徴として、「新しい政治プロセス」が始まったもとでの党の基本姿勢や任務を明らかにした報告の第1章が、“選挙の結果のショックからワクワクへと気持ちが変わった”など、積極的攻勢的に受け止められているとのべました。
また、常任幹部会の「中間的な総括」についても、「モヤモヤが晴れた」「党内でも共有できると思う」などの感想が多数よせられたことを紹介。なかでも政策論戦について「党ならではの豊かな発信方法をつくりだす改革」に挑戦するという報告に大きな共感が寄せられ、「一緒にやりたい」と主体的に受け止める感想が多数よせられていると述べ、そのうえで、「政策を届けられなかった根本には自力不足がある。ここから目を背けずに、現状打開にただちに取り組みましょう」とよびかけました。
田村氏は、選挙総括や全面的な方針提起は4中総で行うが、なぜこのタイミングで会議を開いたかについて強調したいとして、「一刻の猶予もなく、広い有権者に打って出て、党づくりを開始する。目標をすえて、やり抜く実践に足を踏み出すためです。選挙活動と一体の党づくりについて、空白をつくらないための会議です」と述べ、「報告を徹底しながらただちに国民のなかに打って出よう」とよびかけました。
会議を開いた意義を各都道府県委員会で深め、今月1000人の入党者、「赤旗」読者拡大で4月の2中総時点の読者数を回復・突破という目標の具体化をただちに行い、全力をつくそうと訴えました。