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2024年9月17日(火)

ケアを社会の柱に

介護保険考えるシンポ開催

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(写真)介護や医療関係者、利用者・家族らが介護保険を総点検し、今後を展望するシンポジウム=16日、オンライン

 介護保険制度の施行から24年がたち「負担増と給付抑制」の改定が続くなか、介護や医療関係者、利用者・家族らが、介護保険を総点検し、今後を展望する8時間連続シンポジウム「こんなはずじゃなかった、介護保険―私たちのケア社会をつくる」を16日、オンラインで開きました。

 主催は介護関係者や市民が集う「ケア社会をつくる会」です。東京大学名誉教授の上野千鶴子さんらが司会を務めました。

 NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の石田路子副理事長があいさつ。介護保険は「負担と給付のバランス」の名で一貫して「負担増と給付抑制」が行われた歴史だったと指摘。「『こういう制度がほしかった』との、原点に立ち返り展望を考える機会にしよう」と述べました。

 実践女子大学の山根純佳教授は、市場原理が持ち込まれた介護保険のもと、ホームヘルパーら多くのケア労働者が低賃金で働かざるを得なくなっていると指摘。「労働条件が保障されることが、利用者にとっても利益になる。そうした制度のあり方が求められている」と強調しました。

 東京都三鷹市で訪問介護事業を運営するNPO法人「グレースケア」の柳本文貴さんは、4月の訪問介護の基本報酬引き下げで、厚生労働省が増収になるという加算をとっても同事業所は減収になったと言及。給付抑制の結果、もうけの少ない生活援助や要支援者のサービスを断る事業所が増えているとし、「ケアを社会の柱にした政策を実現してほしい」と話しました。

 「しんぶん赤旗」日曜版の本田祐典記者は、高齢者の生活を支える訪問介護事業所が休止や廃止に追い込まれ、サービスの“空白地域”が広がっていることを紹介しました。


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