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2024年9月16日(月)

主張

「敬老の日」

高齢者いじめの政治をやめよ

 きょうは敬老の日です。「国民の祝日」法では「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日とされています。

 高齢者は長年、日本の経済、社会の発展に貢献してきました。ところが政府は「全世代型社会保障」の名のもと「現役世代の負担軽減」を口実に、高齢者の負担増と社会保障給付の削減を進めようとしています。

 13日に閣議決定された「高齢社会対策大綱」は、75歳以上の高齢者の医療費窓口3割負担の対象拡大を掲げました。昨年12月に閣議決定された「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」も、原則1割とされてきた75歳以上の窓口負担と介護の利用料負担の両方で、2割、3割のさらなる対象拡大を掲げています。高齢者の生活を支える年金も12年間で実質7・8%削減されました。

■応能負担言うなら

 高齢者負担の拡大で政府が持ち出すのが「年齢に関わりなく、能力に応じて支え合うという観点」です。

 しかし、その口実のもとで、2022年に医療費が1割から2割に引き上げられたのは、年収が200万円以上(単身の場合)の人で、決して“ゆとりある金持ち”などではありません。実際、医療費の負担を2倍にしたことで受診抑制が起きていることが、厚労省の調査でも明らかになっています。

 高齢者は現役時代にも、税、社会保険料の負担をしてきました。高齢になれば体が弱ってくるのは当然です。そのときに、重い負担に苦しめられることなく、必要な医療・介護・支援を受けられるようにするのが、政府の使命です。

 「能力に応じた負担」というなら、まずやるべきことは大企業や高額所得者を優遇している税制の改革であり、日本の防衛とは無縁の大軍拡の見直しです。

■訪問介護所ゼロに

 高齢者が地域で安心して暮らすために差し迫った課題となっているのが、訪問介護提供体制の“崩壊”です。今年1~8月の介護事業者の倒産は114件で前年同時期の1・44倍と激増、コロナ下の2020年の85件を大きく上回っています(東京商工リサーチ調べ)。うち約半数が訪問介護事業者です。114件のうち8割が従業員10人未満の小・零細事業者です。

 それにより、地方では訪問介護事業所のない地域が増えています。しんぶん赤旗日曜版の調査では、6月末時点で事業所のない町村は97、一つしかない市町村は277にのぼります。全国平均はおおむね高齢者1千人に対し1事業所ですが茨城県利根町では高齢者が7千人いるにもかかわらず事業所はゼロです。このままでは地方の高齢者が自宅で暮らせなくなります。

 訪問介護事業所の経営難を深刻にしたのが、4月実施の介護報酬改定です。20年度以降4割の事業所が赤字にもかかわらず、政府は訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げました。全国社会福祉協議会全国ホームヘルパー協議会、日本ホームヘルパー協会が異例の抗議文を武見敬三厚労相に提出しています。速やかに再改定すべきです。

 高齢者の負担増計画の撤回と医療、介護、年金の社会保障制度の拡充を強く要求します。


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