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2024年9月10日(火)

主張

保険証の廃止

道理ない施策 速やかに撤回を

 12月2日からの保険証の発行廃止をめぐって、「マイナ保険証がないと医療機関を受診できなくなる」などの不安が患者・国民に広がっています。政府が「現行の健康保険証は発行されなくなります」「マイナンバーカードをご利用ください」とポスターやチラシで宣伝しているからです。

■任意制度と徹底を

 そもそもマイナンバーカードを作るかどうかは任意です。さらに、マイナカードを保険証として登録(マイナ保険証)するのも、マイナ保険証を使うかも任意です。任意の制度を普及するために、保険証を廃止することにはまったく道理がありません。任意であることを患者・国民に徹底すべきです。

 政府は現行の保険証の廃止後、マイナ保険証を持っていない人には「資格確認書」を全員に交付するとしています。また、マイナ保険証を持つ人が、自分の保険情報が正しくひも付けられているか確認するために、「資格確認書」とは別に「資格情報のお知らせ」という書面も配布します。

 中小企業の労働者などが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ、約4千万人)は加入者全員に「資格情報のお知らせ」を配ります。

 「資格確認書」「資格情報のお知らせ」のどちらにも保険資格について保険証と同じ内容が記載されています。保険証を廃止しても同様のものを配布するわけです。支離滅裂な施策と言わざるを得ません。

 医療機関の窓口ではマイナ保険証の読み取り機器の不具合、災害による停電などさまざまなトラブルが起きています。制度の仕組み上、トラブルをゼロにすることはできません。

 その際、資格確認に使われているのが保険証です。円滑に受診するためにマイナ保険証とともに保険証を持参することを厚労省も推奨してきました。保険証廃止後は「資格情報のお知らせ」を提示することになります。

■保険者の負担増加

 何のために保険証を廃止するのか意味不明なだけでなく、これらは保険者の負担を増大させます。「資格確認書」「資格情報のお知らせ」を発送する作業は、マイナ保険証を持っていない人を日常的に把握するなど手間がかかります。速やかに配布しないと保険資格の確認ができず窓口で10割負担を強いられる事例が生じます。これを防ぐのは保険者の責務ですが、大変な作業になります。

 さらに重大なのは、現行の保険証は期限が来れば新しい保険証が送られてくるのに対し、マイナ保険証は5年ごとに役所に行って自分で更新しなければならないことです。更新を忘れると、窓口で10割負担を求められかねません。「資格確認書」も法律では希望者が申請することになっており、「当面の間」申請なしで送られてきますが、その後は決まっていません。

 現在行われている自民党総裁選では、一部の候補から保険証廃止の先延ばしなどの声が出ています。国民の批判の強さの表れです。

 現行の公的医療保険制度のもとでは、保険証を発行・交付する責任は国、保険者にあります。それを揺るがすことは許されません。保険証廃止を撤回し保険証を残すことを求めます。


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