2024年6月18日(火)
国民監視後退させる
自民案の資金報告要旨削除 山下氏批判
参院政治改革特別委員会
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日本共産党の山下芳生議員は17日の参院政治改革特別委員会で、自民党の政治資金規正法改定案が、官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書の「要旨」の作成・公表義務を削除していることについて、「規正法の目的である政治活動に対する『国民の不断の監視』を後退させるものだ」と批判しました。
山下氏は、要旨は寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入・支出額など収支報告書の根幹部分を記載したものだと指摘し、「自民案では、この要旨が公表されなくなるということか」と質問。自民案提出者の本田太郎衆院議員は「結果として要旨の廃止という事になる」と認めました。
山下氏は「収支報告書そのものは3年たつと削除される。要旨の公表が無くなれば政治資金の実態を過去にさかのぼって確認することができなくなる」と追及。本田氏は「法案によって監視を後退させるとの指摘はあたらない」と強弁しました。
山下氏は、専門家から「要旨の記載を調査することで規正法違反を告発したことがある。要旨の作成を廃止すれば、過去3年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴う」(上脇博之神戸学院大学教授)、「官報の蓄積が途絶えれば過去をさかのぼる分析、監視が十分にできない状態になる」(NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長)との指摘が上がっていると紹介。要旨の公表義務規定の削除の狙いは、「過去にさかのぼって『自民党とカネ』の問題を追及されにくくするためにある」と指摘しました。
さらに、自民党の裏金事件の調査報道を行う「しんぶん赤旗」のベテラン記者の経験を紹介。過去数年分の要旨をまとめて読むことで、「個々の政治家に対する献金の増減状況―与党内の力関係」や「特定の業界や企業との癒着」を浮き彫りにしてきたことを示し、要旨が果たす役割の重要性を強調しました。
共産党案は「永久に公表」
井上氏
共産案提出者の井上哲士議員は、2006年と07年の規正法改定で、「収支報告書をネット公開した場合は要旨を作成しなくてもよい」との改悪がなされ、現在38道府県で要旨が廃止されたが、今回の自民案はさらなる改悪だと指摘。「要旨があったことで、派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった1999年に自民党派閥の政治資金パーティーの収入が、前年より3・6倍も増えたことが分かり、パーティー券収入が形を変えた企業・団体献金であることが浮き彫りになった」と強調しました。
その上で共産案は、過去の規正法改定で後退させられた規定を元に戻して、要旨の作成を義務化し、官報や公報に掲載することで永久公表するものだと説明しました。