2024年5月31日(金)
地方自治法改定案
宮本岳志議員反対討論(要旨)
衆院本会議
日本共産党の宮本岳志議員が30日の衆院本会議で行った地方自治法改定案に対する反対討論の要旨は次の通りです。
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政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、地方自治体に指示できる、新たな「指示権」の枠組みを導入することは、憲法で保障された地方自治を根底から破壊するものです。
戦前の中央集権的な体制の下で、自治体は侵略戦争遂行の一翼を担わされました。その反省から、日本国憲法は地方自治を明記し、政府から独立した機能をもつ「団体自治」と住民の意思に基づく「住民自治」を保障したのです。
ところが、歴代自民党政権は自治体の権限や財源を抑制し続け、地方自治を形骸化させてきました。地方分権一括法でも、「地方分権」を掲げながら、機関委任事務を法定受託事務として事実上温存し、国による「指示」「代執行」という強力な関与の仕組みを法定しました。そのうえ、本法案は、国の関与を最大限抑制すべき自治事務にまで国が指示することを可能にするもので、きわめて重大です。
しかも、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」とは何か、その類型も、判断基準も、審議では明らかにされませんでした。国の恣意(しい)的判断で、自治体を国に従属させることなど、断じて許されません。
一方で、政府は、存立危機事態を含む「事態対処法」や、安保3文書に基づく「特定利用空港・港湾」への法律の適用について、「除外するものではない」と述べ、否定しませんでした。アメリカの戦争に自治体を動員するために使われる危険は重大です。
さらに、国の判断のもとで、自治体職員の派遣のあっせんを可能とすることは、国の指示に基づく業務遂行に自治体職員を駆り出すものであり、認められません。
地方自治体の情報システムの利用について、「最適化」と称して、今後国がすすめる情報システムの整備のとりくみへの協力を求めるものとなっています。情報システムの共同化、集約の推進によって、地方自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲での施策を迫られるとともに、常に国のシステム整備にあわせていくことが求められます。地方自治を侵害するものであり、到底、容認することはできません。