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2024年5月25日(土)

入管法・技能実習法改定案

参院本会議 仁比議員の質問(要旨)

 日本共産党の仁比聡平議員が24日の参院本会議で行った入管法・技能実習法改定案についての質問の要旨は次の通りです。


 「失われた30年」という長期にわたる経済の停滞、衰退は、国民生活に深刻な困難をもたらし、物価高騰の打撃が加わっています。この10年で実質賃金は増えるどころか年間24万円も減っている世界で異様な「賃金が上がらない国・日本」―その最大の要因は、財界の要求に応えて労働法制の規制緩和を繰り返し、非正規雇用を4割にまで広げたことです。

 農業、農村では、深刻な後継者不足のもと衆議院の宮城公聴会でも、JA宮城中央会の佐野和夫会長が、「農業現場の人材がなくなった一番は、生産物の価格が転嫁されないことだ」と述べられたとおりです。建設労働者の減少、高齢化に歯止めがかからないなか、処遇改善と担い手確保・育成は、もはや一刻の猶予もありません。

 「失われた30年」の当初、奴隷的な単純労働力として酷使が大問題となったのが「研修生」制度でした。1993年に技能実習生が創設され、当時数百人だった技能実習生は、2019年の特定技能創設の制度改定などを経て急増し、23年末で61万3018人に上っています。

 ところが、「失踪者」はこの間も急増し、23年で9006人に上りますが、原因をどう分析し、なくしていくのですか。安価で単純労働力としてのみ受け入れ、拡大を重ねてきたいびつな在留管理政策で、家族帯同や永住は認められず、差別的低賃金と不当待遇、転籍の自由を認めない奴隷的労働で、多額の借金を背負わされブローカーの食いものにされる深刻な人権侵害が後を絶ちません。

 経団連は、22年2月、わが国は「国際的な人材獲得競争に劣後しつつある」と提言しましたが、労働者としての人権を認めない恥ずべき身勝手の挙げ句、自縄自縛に陥っています。

 永住資格の取り消し事由拡大について、「税金等の少額未納が発生した場合や過失犯も含めた軽微な犯罪の場合に在留資格を取り消される事があり得る立場に置くこと自体、『永住者』に対する深刻な差別だ」(在日本大韓民国民団の声明)、「日本にのみ生活基盤を有する2世から6世の『永住者』も多く、すべてが日本市民と共に善良なる市民として地域社会の発展に貢献」「入管法改定案は、永住者の生活、人権を脅かす重大事案と認識し、是正を強く求める」(在日華僑団体の連名)と声明が上げられています。こうした声をどう受け止めますか。

 抽象的な理由で永住資格取り消しを押しつけるのは、むき出しの排外主義を世界に発信することに他なりません。こんな人権後進国であっていいはずがない、本院での徹底審議を求めます。


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