2024年5月14日(火)
労働法守り公正待遇
入管法改定案 地方公聴会 本村氏に陳述人
衆院法務委員会は13日、技能実習制度を育成就労制度に変え、農業と漁業の分野に派遣労働の仕組みを導入する入管法・技能実習法改定案について、仙台市と群馬県でそれぞれ地方公聴会を開きました。仙台市では、農業団体の代表、学者など4人が意見陳述。日本共産党の本村伸子議員が質問に立ちました。
長年、技能実習生の支援に携わってきた福島大学の坂本恵教授は、育成就労制度は職場を移る「転籍」を認めるとしているが、日本語要件などの厳しい制限があり、「本人の意思による転籍を妨げる」と批判。また、高額な「初期費用」について、入管庁の実態調査では、技能実習生が母国の送り出し機関や仲介者に支払った総額は平均で約54万円に上り、実際にはさらに多額だと指摘。「不当な手数料の徴取を禁止すれば、失踪も防ぐ効果が大きい」と主張し、「労働環境の向上、人権教育の徹底などが必要だ」などと抜本的な修正を求めました。
本村氏は、最上位企業が責任を果たさないなど外国人労働者が低賃金のままでは、日本全体の賃上げは難しいと述べた上で、賃上げとともに「農業所得向上に何が必要か」と質問。宮城県農業協同組合中央会の佐野和夫代表理事会長は、「一番の理由は価格転嫁できないことだ」と強調。「農業分野で再生産できる体制をつくってこそ後継者、農村地域の活性化につながる」と訴えました。本村氏の質問に対し、宮城県社会保険労務士政治連盟の須田直樹会長は、技能実習生が「転籍」しないような職場環境にする方策について、「日本人と同じく公正な待遇にすることだ。時間外労働に割増賃金を支払うなど労働法を守ることが重要だ」と述べました。