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2024年5月11日(土)

経済秘密保護法

井上議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 日本共産党の井上哲士議員が10日、参院本会議で行った経済秘密保護法(重要経済安保情報法)に対する反対討論の要旨は次の通りです。


 法案は、米国と日本の財界の要求に応え、同盟国・同志国と兵器の共同研究開発を推進するために「セキュリティー・クリアランス(適性評価、SC)」を導入するものです。

 総理は、法案はあたかも軍事分野とは無関係であるかのように答弁してきました。しかし、SCに関する有識者会議では軍需産業への参入を希望する企業の声が紹介され、質疑では経団連の参考人がSCが必要とされる国際的な共同研究開発として軍需産業の参入を想定していることを認めました。

 総理は、法案は防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではないとも答弁しました。それならなぜ、日本との先端軍事技術での協力の検討を宣言したAUKUS(オーカス)の共同声明が連携国にSCを含む情報保全を求めたのか。なぜ、次世代戦闘機の共同開発プログラムGCAPに関し、駐日英大使がSC制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと述べているのか。この問いに、総理は「答える立場にない」と述べるだけでした。

 政府は、国家安全保障戦略を踏まえ、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から、防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いものを効率的に発掘・育成する目的で「マッチング事業」の認定を始めました。この事業による研究成果で軍事利用の可能性が出てくれば、重要経済安保情報の要件を満たす形にして指定できることを否定しませんでした。

 国際的な兵器の共同研究開発で利益を上げるために科学技術全体を防衛目的に動員することを可能にするものです。憲法の平和原則を踏みにじり、日本を戦争国家、死の商人国家におとしめる法案は認められません。

 法案が秘密を扱う人に課すSCの調査は、政治思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、犯歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで根こそぎ調べ上げるものです。

 警察庁は、調査に関して照会をうけた場合、日常業務としての個人情報の収集や第三者への提供があることを認めました。SCで得た個人情報の目的外利用は禁止されていますが罰則規定はありません。そうした個人情報はSC以外の目的に使用してはならないとするのが当然なのに、重要経済安保情報の保護以外の目的への利用を禁止しているに過ぎません。「重要経済安保情報の保護」を口実に、情報漏洩(ろうえい)の事実把握のためとして、警察による日常的な監視が行われる懸念が拭えません。

 個人の思想・心情・良心の自由を踏みにじり、日本を監視社会にする憲法違反の法案は認められません。


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