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2024年5月10日(金)

「戦争する国」へスピード可決 参院委

 岸田政権が米国の求めに応じて「戦争する国づくり」への本格的な着手を狙う中、9日、参院の委員会で大軍拡を進める法案が、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で相次いで可決されました。内閣委では、兵器の共同開発などを念頭に同志国・同盟国と同等の秘密保全体制を整備する経済秘密保護法案が可決。外交防衛委では、陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」創設などを盛り込んだ防衛省設置法等改定案が参院の審議入りからわずか1日で可決となりました。日本共産党はいずれも反対しました。


科学技術 軍事に動員

経済秘密保護法案 井上議員が告発

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(写真)経済秘密保護法案への反対討論を行う井上哲士議員=9日、参院内閣委

 日本共産党の井上哲士議員は内閣委で、経済秘密保護法案は「米国と日本の財界要求に応え、同盟国・同志国と兵器の共同研究・開発を推進するためのものだ」と批判。日本の科学技術研究を軍事へ動員することこそ法案の本質だと告発しました。

 政府は「法案は軍事分野とは無関係」との説明を繰り返しています。井上氏は、経団連の参考人は「セキュリティー・クリアランス(SC、適性評価)」が必要とされている国際的な共同研究・開発が軍需産業への参入を想定したものだと認めていると指摘。また、2011年の日米安全保障協議委員会(2プラス2)以降、米国が一貫して政府横断的なSC導入を求めていることなども示し“軍事分野と無関係”ではないと認めるべきだと迫りました。岸田文雄首相は「防衛産業協力を想定したものではない」との答弁に終始しました。

 一方で政府は、国家安全保障戦略に基づいて、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘・育成する目的で認定をはじめた「マッチング事業」について、その成果も法案に基づく指定の対象になり得ることを否定しませんでした。井上氏は、「研究成果が防衛装備に転用できる可能性が出てきた段階で、重要経済安保情報に指定し、さらに情報の機微度が上がれば特定秘密に指定する。効率的に防衛装備品にまで結びつけることを可能にするものだ」と批判しました。(関連記事)

米指揮下で武力行使に

統合作戦司令部創設案 山添議員が批判

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(写真)防衛省設置法等の一部改定案への反対討論を行う山添拓議員=9日、参院外防委

 山添拓議員は参院外交防衛委員会で、防衛省設置法等改定案について「米国の要求に即して米インド太平洋軍司令官に対応する自衛隊の統合作戦司令部組織を創設するもので、他国軍の指揮下での武力行使に道を開くことになり憲法違反だ」と批判しました。

 山添氏は、米国の戦略下で進むインド太平洋地域での軍事ブロック化の一つとして、航空自衛隊と豪空軍が2021年6月に「空中給油に関する覚書」を締結したことを指摘。防衛省の加野幸司防衛政策局長は「相互運用性の向上のため」として、22年8月からの共同演習で空自のF2戦闘機が豪空軍のKC130A空中給油機から給油を受けたことを認めました。

 山添氏は、米インド太平洋軍のアキリーノ司令官(当時)が3月に米下院公聴会で、同軍が進める「統合及び連合作戦」について、「すべての領域にわたる統合軍の全域で、かつ、同盟国及びパートナー国との間で、同期化され、空間と時間を超えて連結を図った持続的な諸作戦が含まれる」と述べていることを挙げ、米軍内だけでなく日米で軍隊の「同期化」を進めようとしているのではないかと追及しました。

 さらに、「米軍の情報に基づき攻撃した結果、日本にとって必要最小限度を超えていたということが起こりうる。自衛隊の武力行使が必要最小限度の範囲を超えない保障はどこにあるのか」と追及。木原稔防衛相は、「自衛隊の活動は憲法、国内法の範囲内で行われる」と繰り返しました。山添氏は「憲法の制約などないと言っているに等しい」と批判しました。


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