2024年5月8日(水)
CCSは脱炭素阻む
参考人 再エネ重要性強調
参院経産委
|
参院経済産業委員会は7日、二酸化炭素貯留(CCS)事業法案について参考人質疑を行いました。東北大学東北アジア研究センター・同大学大学院環境科学研究科の明日香壽川教授は、石炭火力発電を前提としたCCS事業は「CO2(二酸化炭素)排出を固定化」し、「脱炭素を邪魔して遅らせる」ものだと批判しました。
CCSは、石炭火発など化石燃料を使う事業で排出したCO2を分離・回収し地中に埋める技術です。明日香氏は意見陳述で、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するためには「(排出量を)30年までに大幅に減らさなければならない」と強調し、30年に事業開始を目指すCCSとの整合性がないと指摘。さらに、CCS事業に多額の補助金を出すことで、より安価な再エネへの投資が減るのは、「まさに機会費用の損失だ」と批判しました。
明日香氏は、費用面での課題も指摘。米国では1970年代から一向にコストが下がらず、2010年以降に米政府が補助金を投じた8事業のうち7事業が失敗に終わっているとして、「結局は国民が永遠に補助金を払い続けることになる」と強調しました。
日本共産党の岩渕友議員は「この間政府は、再エネだけでは脱炭素化や電気代の抑制、安定供給ができないと述べている」として見解を質問。明日香氏は「お金も、時間も、必要とされる電力量も限られている」として、省エネ・再エネの重要性を強調しました。