2024年4月23日(火)
自衛隊が米軍指揮下に
米軍「主権の一部切り離せ」と要求
衆院予算委 志位議長が告発
首相、否定するが根拠示せず
日本共産党の志位和夫議長は22日の衆院予算委員会で、10日の日米首脳会談でバイデン米大統領が「日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレード(更新)」だと絶賛した米軍・自衛隊の指揮統制強化をめぐり、自衛隊が米軍の事実上の指揮下に置かれ、米側は主権の一部まで切り離すよう公然と求めている実態を告発しました。岸田文雄首相は「自衛隊は独立した指揮系統だ」などと繰り返しましたが、根拠は一切示せませんでした。(関連記事)
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志位氏は、「しんぶん赤旗」日曜版が情報公開請求で入手した敵基地攻撃実行の際の「日米共同対処」のサイクル図を示し、「指揮統制」で日米が緊密な協力を行うことが明記されていると指摘。指揮統制は、情報・装備等で圧倒的に優越的な立場にある米軍主導で行われ、「自衛隊は事実上、米軍の指揮統制のもとにおかれることは明らかだ」と迫りました。
さらに「目標情報から米軍頼みになる」「自衛隊にどの敵基地を反撃するか把握する能力はない」など軍事専門家の指摘をあげ、敵基地攻撃は米軍に全面的に頼ることになるとして、「独立した指揮系統」というならその保障をあげるよう追及。首相は「自衛隊は独立した指揮系統だ」「憲法、国内法の範囲外にでることはあってはならない」などと繰り返すだけで、具体的な保障は一切示せませんでした。
日米首脳共同声明は米軍と自衛隊の「シームレス(切れ目のない)な統合」を明記しています。志位氏は、敵基地攻撃とミサイル防衛を同時に行う「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の基本方針として、米インド太平洋軍は「IAMDビジョン2028」で「同盟国とシームレスに統合する能力を備え」ると明記していると指摘。自衛隊のIAMDは、米軍のIAMDと「シームレスに統合」していくのかとただすと、首相は「米軍のIAMDとは別物だ」などと強弁しました。
志位氏は、米太平洋軍IAMDセンター所長のサベージ大佐が同ビジョンの公式の解説論文で「IAMD能力を米国が単独で高めるのは実行不可能」と主張しており、「首相がいくら自衛隊とは『別物』と言っても、連携相手の米軍が『シームレスな統合』が絶対不可欠だと言っている」と厳しく批判しました。
さらに、解説論文は陸海空、宇宙、サイバー、電磁波などすべての領域情報を一元的に統合し「攻撃すべき目標」等を迅速に決定するシステム「統合全領域指揮統制(JADC2)」にインド太平洋地域のすべての同盟国を組み込むと述べていることを指摘。その中で、同盟国に「主権の一部を切り離させる…政府をあげてのアプローチが必要」と明記しているとして、「これが米軍の求める『シームレスな統合』だ。日本の主権まで米国に差し出すなど、まぎれもない憲法違反だ」と強調。「日本が進むべき道は軍事的対応の強化の道でなく、東アジアの平和を構築するための憲法9条を活かした平和外交にこそある」と提起しました。