2024年4月21日(日)
食料・農業・農村基本法改定案
田村議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の田村貴昭議員が19日の衆院本会議で行った食料・農業・農村基本法改定案についての討論の要旨は次の通りです。
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本改定案は、先進諸国で最低の食料自給率を向上させ、崩壊の危機が広がる農業と農村に希望をもたらすものでなければなりませんでした。ところが、現行法で第1の目標としてきた「食料自給率の向上」を「食料安全保障の動向に関する事項」などに変更し、農政の最重要課題を投げ捨てました。
1965年に73%だった食料自給率は38%に落ち込んでいます。その原因は輸入自由化にあったことは明白です。歴代自民党政権は麦・大豆など、米国の余剰農産物を進んで受け入れ、次々の輸入自由化で安い農作物が流入してきました。輸入自由化を反省するどころか、輸入相手国の多様化、相手国への投資まで盛り込み、輸入拡大を正当化しています。
政府は「米の需要が減退している」としながら、義務でもないのに需要の1割を超える77万トンものミニマムアクセス米を輸入し、累積6351億円もの税金を投入しました。その半分は米国産です。農家に希望を失わせる異常な輸入依存と、卑屈な米国追従をやめるべきです。
現行法は、旧法にあった「農家の生活水準の維持」や「農業の自然的・経済的・社会的制約による不利を補正」との文言を削り、農業を市場原理主義と新自由主義政策にゆだねた結果、25年で農業従事者は半減し、53万ヘクタールもの農地が失われました。いまや中山間地の水田が次々と耕作放棄地となり、畜産・酪農は過去最悪のペースで離農しています。農村から学校、商店がなくなり、生活の基盤が失われようとしています。
疲弊する農村に対しては「共同活動を支援」しかない無策ぶりです。担い手の規定も「効率的、安定的な農業を営む者」「専ら農業を営む者」を支援の対象とし、定年帰農などによる小規模で多様な農業を政策の軸に据えていません。
農家を苦しめる肥料・飼料などのコスト高に対し、価格転嫁を唯一の方法としています。実質賃金の低下や、低価格農産物の大量輸入で、再生産可能な販売価格が実現できる保証はありません。農業従事者の倒産は過去最多を更新しています。農業予算を抜本的に増やし、価格保障・所得補償を行うべきです。
本改定案は、食料と農業の危機を打開するには程遠いと言わざるを得ません。政府がやるべきことは、食料自給率の向上を国政の柱にすえ、際限のない輸入自由化路線を転換し、規模の大小を問わず農家の経営を全力で支えることです。