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2024年4月20日(土)

岸田首相に対する山添議員の代表質問

参院本会議

 日本共産党の山添拓議員が19日の参院本会議で行った岸田文雄首相に対する代表質問の要旨は次の通りです。


 日米首脳会談の最大の焦点は、米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化をいっそう進め、日米軍事同盟の歴史的な大変質をもたらそうとしていることです。

 日米首脳共同声明は、「作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、2国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」としています。

 「シームレスな統合」とは何か。防衛大臣は16日の外交防衛委員会で、「日米が共同対処等を行う場合に、陸海空及び宇宙、サイバー、電磁波などさまざまな領域での作戦や能力をシームレスに連携させていく必要があるという趣旨」だと述べました。共同対処という以上、日米の部隊どうしが文字通り一体化するということではありませんか。

 米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は3月20日の米下院公聴会で、「われわれがもつ同盟国及びパートナー国との力強いネットワークは、長期にわたる競争において最も重要な非対称のアドバンテージだ」と述べ、対中国で、米国の優位性は同盟国の存在であると公言しています。自衛隊は、事実上米軍の指揮下で、あたかも米軍の一部隊のように扱われるということではありませんか。

 トマホークをはじめ敵基地攻撃能力の運用は日米共同作戦が前提です。標的の探知・追尾、攻撃効果の判定など自衛隊単独では困難であり、情報収集とその分析能力で圧倒的な米軍との共同が不可欠だからです。

 米国は、米国が中心となり同盟国と関係を結ぶ「ハブ・アンド・スポーク」から、米国の同盟国同士の連携を強める「格子状の同盟」へと変容を迫っています。軍事的な同盟関係をネットワーク化し中国と対峙(たいじ)しようとする米国に日本も同調するのですか。

 共同声明は、抑止力の強化を繰り返し強調し、日米で兵器の共同開発・生産を進めるために「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)」の開催を宣言しています。優先分野として掲げるミサイルは、どのような性能を想定したものですか。日米から輸出することも検討しているのですか。新たなミサイルの開発・生産が抑止力を高めるとする根拠は何ですか。

 共同声明は、「米国の拡大抑止を引き続き強化する」とし、「次回の日米『2+2』の機会に、拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行うよう求める」としています。「突っ込んだ議論」とは何を期待しているのですか。日本に米国の核兵器を置くことの検討を求めるなど断じて認められません。

 4月2日、米軍横田基地にB52戦略爆撃機が通告なしに飛来しています。拡大抑止だといい、こうした核戦力の運用を拡大強化させるつもりですか。総理が広島出身を語りながら核兵器禁止条約に背を向け続け、核抑止力論にいつまでもしがみつくのは到底許されないことを指摘します。

 日米同盟の抑止力を理由に、沖縄・辺野古新基地建設を「唯一の解決策」として強行すると明記したことに断固抗議します。総理は、沖縄県民多数の意思が辺野古新基地建設に反対であることをバイデン大統領に伝えたのですか。

 普天間基地の米軍オスプレイが、傍若無人の飛行を続けています。運用停止と撤去こそ求めるべきです。

 首脳会談や米議会の演説ではにかむ総理の様子からは、日米軍事同盟の下で現にある国民の苦難に寄り添う姿勢は全く見受けられません。それどころか軍事的対抗を強め、いっそうの危険と負担をもたらす同盟関係の大変質に突き進んでいます。

 いま必要なことは、地域のすべての国々を包摂する対話と協力の枠組みをつくり発展させる、外交による平和の創出です。


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