2024年4月19日(金)
「平和国家」覆す日米同盟の歴史的大変質
岸田首相の訪米報告 志位議長が追及
衆院本会議
岸田文雄首相は18日の衆院本会議で、8~14日の訪米報告を行い、各党が代表質問を行いました。日本共産党の志位和夫議長は、日米首脳会談で合意した日米同盟の歴史的大変質に抗議し、その問題点を厳しく追及、中止を訴えました。(志位氏の代表質問全文)
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志位氏は、米国が岸田首相を国賓待遇で招待した背景として、エマニュエル駐日米大使が軍事費の2倍化、敵基地攻撃能力の保有・トマホークの購入、武器輸出の拡大などをあげ、「70年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した」(「産経」5日付)と絶賛していると指摘。「歴代政権が憲法に基づく『平和国家』の理念を、ことごとく『根底から覆した』ものではないか」と批判しました。
志位氏は最大の問題点として、バイデン米大統領が共同記者会見で、米軍・自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化をあげ、「日米同盟が始まって以来、最大のアップグレード(進歩)だ」と述べたことを指摘。日米共同声明は「作戦及び能力のシームレス(切れ目のない)な統合」のため、「(日米それぞれの)指揮統制の枠組みを向上させる」と明記しています。
志位氏は「シームレスな統合」が「米軍・自衛隊の統合を意味することは明らかだ」として、「この道を進めば指揮統制は、情報でも装備でも圧倒的に優越的な立場にある米軍主導で行われ、自衛隊は事実上、米軍の指揮統制の下で行われる」と批判。「米軍の指揮下に入ることは憲法上、許されない」と追及しました。
また、自衛隊が参加する米軍の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の基本方針に先制攻撃が明記されており、「国連憲章違反の先制攻撃の戦争に、米軍の事実上の指揮統制の下で参戦する道を開く」と指摘。日米軍事同盟の歴史的大変質に抗議し、その中止を強く求めました。
志位氏は、共同声明が▽殺傷兵器の輸出解禁を歓迎▽日米の軍需産業を統合する協議体を開催▽ミサイルの共同開発・生産を実施―とした点について、「国際紛争の助長回避」という「平和国家の理念」を根底から投げ捨てるものだと批判。対米従属下で「死の商人国家」の道を歩むことは「絶対に許されない」と訴えました。
また、共同声明が沖縄・名護市の辺野古新基地建設の強行を宣言する一方、垂直離着陸機オスプレイの飛行再開や有機フッ素化合物(PFAS)汚染に一言も触れていないことをあげ、「あまりに卑屈な従属姿勢だ」と厳しく批判しました。
志位氏は、共同声明が米英豪の排他的な軍事的枠組み=AUKUS(オーカス)と日本との協力検討を明記したことについて、「中国を念頭にこうした対応を取れば、東アジアでの分断と対抗の悪循環を加速する」と指摘。共同声明に、特定の国を排除しない包摂的な枠組みである「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」への支持を明記したこととも矛盾すると訴えました。
志位氏は「いま日本が進むべきは軍事的対抗の強化ではなく、ASEANと協力して東アジアに平和を創出する憲法9条を生かした平和外交だ」と力を込めました。