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2024年4月18日(木)

経済秘密保護法案

井上議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の井上哲士議員が17日の参院本会議で行った経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)についての質問の要旨は次の通りです。


 本法案は、米国などの同盟国・同志国と兵器の共同開発を進めるためにセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度を導入するものです。こうした本法案の狙いは、岸田総理とバイデン米大統領との日米共同声明で一層明らかになりました。

 共同声明は、「作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」と明記しました。日米間の相互運用性を強化するために、指揮・統制機能の連携強化や共通する装備の保有と連携した運用の一層の強化を米側から求められています。

 そのもとで共同声明では、「日米防衛産業・協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)」を開催し、ミサイルの共同開発・共同生産を強めることを宣言。米英豪の軍事的枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本が先端軍事技術での協力を検討することも宣言しました。

 本法案で経済分野を含めて幅広く情報を秘密指定し、その情報を扱う者に適性評価を義務付けるのは、こうした諸外国との先端軍事技術での協力に対応するためなのではありませんか。

 国民には何が秘密かも知らされないまま、政府の一存で秘密を指定し、その漏えい等を厳罰に処するのが特定秘密保護法です。それと同様の仕組みで本法案が秘密を扱う人に課す適性評価の調査は、政治思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、犯歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで30ページに及ぶ調査票に記入させるものです。対象者の知人や職場の上司にまで質問し、公務所に照会までかけるとしています。

 公務所には警察や公安調査庁が含まれます。警察は、個人情報の収集や第三者への提供は通常の警察業務の一環であると主張しています。法案で警察による国民監視と個人情報の収集が一層拡大する懸念があります。また、警察や公安調査庁に収集された個人情報は削除されるのか。一生監視の対象になるのではないでしょうか。

 米国と一体の軍事力増強と軍需産業の利益拡大のために、日本国憲法の国民主権と平和主義を壊し、適性評価によってプライバシー権を侵害し、基本的人権を踏みにじる本法案は断じて認められません。徹底審議のうえ、廃案にすることを求めます。


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