2024年4月4日(木)
どこが「子の利益」か
共同親権 参考人が相次ぎ懸念
衆院法務委 本村氏質問
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衆院法務委員会は3日、離婚後「共同親権」を導入する民法改定案について参考人質疑を行いました。DV(配偶者などからの暴力)当事者や支援してきた弁護士などが共同親権の導入で虐待やDVが継続する懸念を相次いで表明しました。
斉藤幸子さんは、夫のDVから逃れるため子どもとともに別居しましたが、5年たっても裁判所からDV被害を軽視され、離婚が成立していません。斉藤さんは「共同親権では進学、ワクチン接種など子どもの成長の節目で別居親の同意が必要になる。どこが『子の利益』になるのか」と疑問を投げかけました。
日本共産党の本村伸子議員は、審議で小泉龍司法相も改定案で紛争が増えると認めたとし、「新たな人権侵害が起きるのではないか」と質問。斉藤氏は「子どもの安全・安心が損なわれないか心配だ。当事者の声をもっと聞いてほしい」と訴えました。
本村氏が「現状では、子どもの『最善の利益』をどう判断しているか」と質問すると、離婚事案に長年携わってきた岡村晴美弁護士は「大人が決めた計画を子どもに押し付け、計画と違うと裁判になる。裁判所が適切に決めるからいいと言うが、裁判をくり返すことにより、(経済的負担を含め)子の養育の質を下げる。裁判所が適切に判断するという考えは非常に違和感がある」と指摘。法務省法制審議会家族法制部会委員を務めた原田直子弁護士も「現状で共同親権の導入は危険だ。(法制審の議論は)共同親権ありきで時期尚早だった」「法案に『子の意思の尊重』を入れてほしい」と主張しました。
東京家庭裁判所の家事調停委員を務める犬伏由子慶大名誉教授は「家裁の役割の増大が見込まれる」と述べ、家裁の整備充実、調査官の人員増など子どもの意向・意思を十分に把握できる体制強化を求めました。(参考人陳述要旨)