2024年3月22日(金)
労働条件の改善こそ
運送業界 改定案審議入り
衆院本会議で高橋氏が訴え
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物流の「2024年問題」への対応として、荷主や物流事業者に対する規制などを盛り込んだ流通業務総合効率化法と貨物自動車運送事業法の改定案が21日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の高橋千鶴子議員はトラック運転手の労働条件の抜本改善を訴え、「過労死をなくし、安心して働ける職場となるよう取り組むべきだ」と主張しました。
高橋氏は、トラック運転手が他の産業と比べ長時間労働・低賃金で過労死は14年連続でワースト1にもかかわらず、適用される時間外労働時間の上限規制は年960時間で、一般労働者の上限より240時間も長く過労死ラインを容認する水準だと批判。「労働時間規制で年間4億トンの荷物が運べなくなると言うが、トラック運転手の健康より経済優先なのか」と追及しました。
4月から、高速道路での大型トラックの最高時速が80キロから90キロに引き上げられます。高橋氏は「より速く走り、より多く運ぼうとすることは、トラック運転手への心理的な負担を増し、働き方改革に逆行する」と批判。斉藤鉄夫国交相は「緊張度、疲労度が増加すると承知している」と答弁しました。
高橋氏は、トラック事業の低賃金の要因となっている多重下請け構造の解決は喫緊の課題だと指摘。元請け事業者に作成が義務づけられる実運送体制管理簿は中抜きの実態の見える化が期待されるが、下請け事業者名だけでなく運賃や手数料の明記も必要だと主張しました。運送手段を持たず業者と荷物のマッチング(仲介)をする利用運送事業者の存在が、中抜きの温床となっているとして規制の必要性を強調しました。
全業種の中で労務費や燃料代などの価格転嫁が最もできていないのがトラック事業だとし、「運賃はトラック労働者の賃金の原資となるもので標準的運賃を最低運賃とすべきだ」と主張しました。