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2024年3月21日(木)

経済秘密保護法案

塩川議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の塩川鉄也議員が19日の衆院本会議で行った、経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)に対する質問(要旨)は次の通りです。


 本法案は、政府が強行した秘密保護法を拡大します。秘密保護法は国民に知らされないまま政府が勝手に秘密を指定し、秘密に触れれば厳罰を科す希代の悪法です。

 秘密保護法は秘密の範囲を「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動」としていましたが、今回の法案はさらに医療や食料など経済分野のあらゆる情報に広げ、政府の一存で秘密指定を可能とします。秘密を扱う人は民間労働者、技術者、研究者など飛躍的に広がります。秘密保護体制を際限なく拡大するものです。

 岸田首相は「新制度が既存の情報保全制度とシームレス(継ぎ目なし)に運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め必要な措置を講じる」よう指示しました。法改正せず運用見直しで秘密保護法の適用を拡大するものですか。

 秘密を扱う人のセキュリティー・クリアランス(SC)=適性評価は、政治的思想や病歴、借金などの情報が調査項目となっています。機微な個人情報を根こそぎ調べる秘密保護法と同じです。

 労働者は適性評価の調査を拒否すれば不利益を受ける恐れがあり、事実上の強制です。家族や同居人の国籍も同意なく調査され、大量の個人情報は削除ルールすらなく政府にたまり続けます。一度でも秘密に触れた人は生涯監視され続けるのではありませんか。

 漏えい未遂、過失、共謀、教唆、扇動も処罰対象のため監視対象は家族、知人などに及びます。思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものです。

 国民の知る権利の問題です。取材による秘密の取得行為も処罰対象です。「正当な取材は除外」といいますが、捜査機関の判断で逮捕、勾留しての密室での取り調べも捜索、差し押さえも行えるのではありませんか。報道の自由の侵害は明らかです。秘密指定の情報は国会議員にすら明らかにされません。

 秘密指定の拡大は研究成果の自由な公開やオープンな研究環境を制限し、学問の自由を侵害します。

 岸田政権は安保3文書で、装備品の共同開発・生産、装備・技術協力を強化するため「日米間の情報共有を促進する情報保全を強化する」と宣言しています。首相は「SCは、同盟国・同志国との円滑な協力のために重要」と述べ、極超音速兵器を迎撃する滑走段階迎撃用誘導弾の米国との共同開発、イギリス、イタリアと次期戦闘機の共同開発を進めています。共同開発のためにSC制度を必要としたのではありませんか。

 米国は、米国内と同等の包括的な秘密保護法体制を要求してきました。米国基準の3段階のうちトップシークレットとシークレットは秘密保護法で対応し、コンフィデンシャル級は本法案で対応するものではありませんか。

 日本の財界は「相手国の国防省関係のビジネスは増加傾向で、業務獲得・円滑化のためにはクリアランスが必要」と述べています。軍事分野で企業のもうけを確保するために本案が必要ということですか。米国と財界の要求に応えて日米軍事一体化を進め、デュアルユース(軍民両用)も含む武器輸出を進め、日本を「死の商人国家」にしようというのが本案の正体ではありませんか。

 大川原化工機事件では、経済安保の名の下で人権じゅうりんの違法捜査が行われました。経済安保推進の中で政府がでっちあげた事件です。秘密保護体制の拡大が同じような事件を引き起こしませんか。

 基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法の拡大は許されません。徹底審議で廃案にすることを求めます。


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