2024年3月16日(土)
「共同親権」導入民法改定案
本村伸子議員の質問(要旨)
衆院本会議
日本共産党の本村伸子議員が14日の衆院本会議で行った「共同親権」を導入する民法改定案についての質問の要旨は次の通りです。
法案は親子関係と家族のあり方に関する戦後民法の根本に関わります。慎重かつ丁寧な議論が求められます。
憲法のもとで「親権」とは、親の子に対する支配権ではなく、親の子に対する養育の「義務・責任」です。本法案は婚姻関係にかかわらず、父母は子の心身の健全な発達を図り、子の人格を尊重し、互いに協力する責務を明記しました。「父母の親権に服する」という文言を削除し、「子の利益のために行使しなければならない」としたのは、親権を子どもの権利を中心に据え、捉え直す動きに沿ったものです。なぜ定義・用語を変えなかったのですか。
子どもの最善の利益の実現には子どもの意見表明権の保障が不可欠です。両親の離婚などに伴う環境変化は子どもの人生にも一大事であり、子どもが「意見を聴かれる権利」を保障することは、子どもの最善の利益のために必須の手続きです。子どもの意見表明権を明記するべきです。
夫婦間の信頼が失われ破綻し離婚に至る場合、「共同親権」がかえって子どもの安心・安全・命を損なう懸念についてどう検討されたのでしょうか。「共同親権」では子どもに関わる重要な決定は元配偶者の同意が必要です。合意が得られなければ、そのたびに裁判所の判断を求めることになり、新たな紛争の多発が懸念されます。
DV(配偶者、恋人などからの暴力)や虐待がある場合、裁判所が「単独親権」を決定するとしていますが、どのように認定するのですか。法務省は「DV防止法より広い事情が考慮される」と言いますが、具体的にどのような事情ですか。DV・虐待は密室で行われ、立証は難しさがあるのではないですか。
「急迫の事情」は単独行使できるとしていますが、どのような場合ですか。離婚した元配偶者と面会した時に暴力を振るわれ、しばらくたって子どもと転居する場合は「急迫」と解釈されるのか、元配偶者の同意が必要になるのですか。
医療現場からは、不仲で同席できない両親に説明し同意を得ることは、臨床現場に負担をかけ、適切な医療を妨げるとの懸念が出ています。これら深刻な問題点は法制審議会家族法制部会で指摘されていたのに、法案を提出しました。拙速のそしりを免れません。国会審議の前提として8000件超のパブリックコメントを全て明らかにすべきです。
家裁の裁判官、調査官などの大幅増員を求めます。子どもパートナー弁護士制度や経済的な困難を抱えるシングルマザーなどの弁護士費用は公費で持つべきです。養育費立て替え払い制度創設などをどう具体化するのですか。