2021年10月22日(金)
主張
総選挙と憲法
改憲許さず9条生かす政治を
総選挙では、憲法を壊す自民・公明の政治に終止符を打ち、9条をはじめ憲法を生かす政治を実現できるかどうかが焦点です。岸田文雄首相は、改憲に執念を燃やした安倍晋三元首相と菅義偉前首相の路線を受け継ぐ姿勢を鮮明にしています。自民党は選挙公約に「早期の憲法改正を実現する」と明記しました。いま必要なのは憲法を変えることではありません。野党の共通政策は「憲法にもとづく政治の回復」を柱の一つにしています。自民、公明、日本維新の会の改憲勢力を少数に追い込み、政権交代を実現し、立憲主義を貫く政治に切り替えましょう。
岸田首相は強い意欲表明
岸田首相は日本記者クラブの党首討論会(18日)で、改憲案を国民投票にかける覚悟は不退転かと記者から問われると「もちろん」と即答し、任期中の改憲に意欲をみせました。9条に自衛隊を書き込むことなど自民党の「改憲4項目」も「しっかり訴えたい」と強調しました。自民党公約は「4項目」を明記した上で、「初めての憲法改正への取り組みを、更に強化」することを掲げています。
9条への自衛隊明記の改憲案は安倍元首相が持ち出したものです。戦力不保持・交戦権否認の9条の規定を死文化させ、自衛隊が海外の戦争に公然と出かけることを可能にします。人権を制限する緊急事態条項の創設と合わせ、「戦争する国」づくりへの危険な企てです。コロナ危機を口実に改憲をあおることは許されません。
共同通信が、9月の自民党総裁選期間中に党員・党友を対象に実施した調査では、次の首相に期待する課題に「憲法改正」を挙げたのは、4・3%でした。改憲を求める声は自民党内でも少数です。
2020年までに改憲を実現することを狙った安倍氏の野望は、国民の世論と運動、野党共闘の力で阻止されました。国民の批判を浴びて行き詰まっている改憲に固執することは、民意に逆らう自民党の姿勢を浮き彫りにしています。公明党は総選挙政策で憲法に新たな規定を加える「加憲」を主張します。維新は、改憲に正面から挑むと公約しています。
憲法を敵視し、立憲主義の土台を壊してきた「安倍・菅政治の9年」の清算こそが急務です。安倍政権は、集団的自衛権の行使を違憲とした歴代政権の憲法解釈を一内閣の閣議決定で覆して安保法制=戦争法を成立させました。共謀罪法や特定秘密保護法などの違憲立法も強行しました。菅政権による日本学術会議への人事介入は憲法が保障する学問の自由の重大な侵害です。憲法に基づく野党議員の臨時国会召集要求も無視しました。数々の憲法に反する政治を終わらせなければなりません。
公布75年にふさわしく
野党の共通政策は、安保法制の違憲部分の廃止をはじめ立憲主義の回復、憲法改悪反対を明記しました。核兵器禁止条約の批准をめざすことや、沖縄県辺野古への米軍新基地建設の中止を明確に打ち出しています。これらの政策は自公政権では絶対に実現できません。総選挙で政権交代を果たし、9条を生かした外交をすすめる日本をつくることが重要です。
憲法は1946年11月3日に公布されました。公布75年の節目の日を、憲法を輝かせる新政権のもとで迎えようではありませんか。