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2020年7月21日(火)

エジプトで広がる性被害ネット告発

女性が沈黙する必要ない

 【カイロ=秋山豊】エジプトで今月、1人の男からレイプや性的嫌がらせの被害を受けた女性らによる告発がインターネット上で広がりました。その数は100人を超えています。


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(写真)「フェミニズム研究のためのナズラ」のモズン・ハッサン氏(本人提供)

 エジプトメディアによると、告発されたのはカイロにある大学の元学生で20代の男。1日以降、性被害を受けた女性らの証言が次々に投稿されました。3日後には警察が男を逮捕。男が女性を脅迫する音声の録音も証拠として投稿されていました。

 女性団体「フェミニズム研究のためのナズラ」のモズン・ハッサン氏は、男性が支配権を握るエジプト社会で、女性は中傷などを恐れて性被害について訴えられない場合が多いと指摘します。

 実際に、被害女性に対して「暴行を受けない服を着るべきだ」との中傷もあります。

 これに対し「性暴力は正当化できない」という反論や、被害者を支持する投稿が相次ぎました。ハッサン氏は「性暴力に対し、女性が沈黙する必要はないことを社会に示している」と語りました。

 被害者による告発は続いています。カイロでは女性に性的嫌がらせをした出版社のオーナーがネット上で告発され、逮捕に至りました。ほかにも今月初めからこれまでに、政府機関である国家女性評議会に女性への暴力に対する苦情や問い合わせが400件以上寄せられています。

 同国では性暴力が社会問題になっています。国連が2013年に発表した調査で、同国の女性の99%が性的嫌がらせを受けた経験があると述べています。14年には、シシ大統領就任を祝うために市民が集まっていたカイロのタハリール広場で女性が性的暴行を受けています。

 シシ政権は今回の事件の最中に、性暴力被害者の身元を秘匿するために法改定する方針を打ち出しました。国家女性評議会は、ネット上で告発した全ての女性に対し、正式に被害を訴えるよう促しています。


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