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2019年3月9日(土)

防衛調達特措法改定案について宮本徹議員の質問

衆院本会議

 日本共産党の宮本徹議員が7日の衆院本会議で行った防衛調達特措法改定案についての質問(要旨)は次の通りです。


 防衛調達特措法は、財政法で5年以内とされている国庫債務負担行為を、自衛隊の航空機や艦船などの防衛調達については10年まで可能とする特例を定めた法律です。本法案は2015年、安保法制の審議の直前に制定された現行法の期限をさらに5年間延長するものです。

 そもそも1947年、日本国憲法の下で財政法が制定されたとき、国庫債務負担行為の年限は3年でした。当時、大蔵省で法案作成に携わった平井平治氏は、財政法の解説書で「あまりに長期に亘り将来の国の債務を負担することは、…国会の構成も時の経過に伴って異るのであるから、避けるべきであるとの見地から原則として、3箇年度に制限した」と述べています。

 国会議員の任期をふまえ、当初は3年とされた年限を5年はおろか10年にまで延長し、将来の軍事費を先取りすることは、国会の予算審議権を侵害し、憲法の定める財政民主主義に真っ向から反するものです。

 憲法に財政民主主義の原則が定められたのは、過去の侵略戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行するなどし、国家財政と国民生活を破綻させた痛苦の経験があるからです。政府は、その歴史の教訓をどう認識しているのですか。

 現行法が審議された4年前、当時の中谷防衛大臣は「財政の硬直化を招くことがないように実施する」と答弁しました。ところが、現実には契約の翌年度以降に分割で支払う後年度負担が年々増大し、19年度は当初予算を上回る過去最大の5兆3613億円に上っています。後年度負担の補正予算へのつけ回しは常態化し、防衛省が国内の防衛関連企業に装備品の代金の支払い延期を要請する事態にまでなっています。軍事費をめぐる現状は、財政の硬直化そのものではありませんか。

 来年度予算には、初めてFMS(有償軍事援助)調達による新型早期警戒機E2D9機のまとめ買いが盛り込まれています。しかし、FMS調達については、価格は米国政府の見積もり、納期も予定にすぎず、米国政府がこれらに縛られないことは政府自身が認めてきたことです。長期契約においても、この仕組みに変わりはないのではありませんか。

 政府は昨年末、新たな防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を閣議決定しました。新中期防の総額は、現中期防を2兆8000億円上回る過去最大の27兆4700億円に上ります。長期契約による個々の調達コストの縮減は、予算額全体の削減には全くつながっていません。そればかりか、イージス・アショアやF35戦闘機などの米国製兵器を大量購入するための原資になっているのが実態ではありませんか。

 トランプ米大統領に言われるがままの米国製兵器の爆買いをやめ、史上最大の軍拡計画の撤回を求めます。


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