2018年5月9日(水)
自衛隊「隊友会」
改憲署名を推進
現役17万人が賛助会員 防衛省に事務局
政治的中立性脅かす恐れ
自衛隊OBや現役自衛隊員らが参加する公益社団法人「隊友会」が、憲法9条に自衛隊の明記を求める憲法改定推進署名など改憲運動をしていることが、本紙の調べで分かりました。隊友会は自衛隊が会員の勧誘や会費徴収などで組織的に支援する組織。そんな隊友会が積極的に改憲運動をすることは、自衛隊の政治的中立性を脅かす疑いがある行為です。(原千拓)
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隊友会が集めていたのは、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が始めた憲法改定の賛同者を集める署名です。この会は、改憲右翼団体「日本会議」の名誉会長が共同代表を務める組織。署名は、憲法9条に自衛隊を明記することや非常事態条項を導入することなどを求めています。安倍晋三首相がすすめる憲法改定と重なる内容です。
隊友会本部の担当者によると、本部として2015年度に署名活動をしました。現在も「憲法改正運動に積極的に協力する」(18年度事業計画)としています。
地方組織の東京都隊友会は17年度の年次報告で「会員の皆さん! 安倍首相の提言で憲法改正議論が活発になり、国民投票が現実味を帯びてきました。国民の悲願である憲法改正に向け賛同署名活動を一層盛り上げましょう!!」と呼びかけています。
隊友会の事務局は東京・市ケ谷の防衛省建物内にあります。自衛隊OBによる正会員(約7万2千人)と、現役自衛官の賛助会員(約17万人)がいます。陸海空の幕僚監部はそれぞれ通達で全機関の長らに、▽退職者に対する正会員入会の勧誘▽在職者に対する賛助会員入会の勧誘―などをするよう定めています。
陸上自衛隊の通達では、駐屯地司令が隊友会担当者に命じて、駐屯地部隊の会費をとりまとめ、隊友会本部事務局に送付するとしています。
自衛隊員は憲法99条で憲法尊重擁護義務が定められた公務員です。自衛隊員が任命の際に署名して提出する「服務の宣誓」には、「日本国憲法及び法令を順守」すると明記されています。また自衛隊員は自衛隊法61条で政治活動を制限されています。
改憲運動について隊友会は「現役自衛隊員は(署名活動に)基本的に関与していません」としています。