日本共産党

2002年11月10日(日)「しんぶん赤旗」

イラク和平ミッションの24日間(1)

日本共産党 中東・湾岸6カ国訪問

党国際局長・参院議員 緒方靖夫

「アジアの心は一つ」を実感


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 私は十月五日に東京を出発し二十八日に帰国の日程で、森原公敏国際局次長とともに、ヨルダン、イラク、エジプト、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦の六カ国を訪問し、各国の政府、国会代表などと会談しました。またカイロでアラブ連盟、ジッダ(サウジ)でイスラム諸国会議機構(OIC)と、二つの国際機関と会談しました。

文字通り野党外交

 その目的は、アメリカがイラクへの戦争をすすめようとしているときに、戦争ではなく政治交渉で問題を解決することを訴え働きかけることであり、文字通り、野党外交の旅でした。二人にとって、エジプトを除いてすべて初めての訪問国でしたが、アラブ諸国の深奥な部分で日本共産党の存在と外交が試される機会ともなりました。

 この訪問は、イラク政府から十月十五日の大統領信任投票にあたって日本の全政党が招かれ、わが党も招待されたことがきっかけでした。私たちの日本共産党はかねてからイラク政府にただしたいことがあったので、訪問することにしました。

 イラクにはヨルダンのアンマンから陸路で入るので、まずヨルダン政府と会談し、さらに中東の動向に大きな影響力をもつエジプトを訪問する計画を立てました。

 ところが出発前、イラク情勢に密接にかかわっている湾岸諸国在京大使にあいさつし、情勢を聞くために今回の訪問予定にはないサウジアラビアとカタール、アラブ首長国連邦の各大使と会った際に、訪問計画を説明すると、サウジ代理大使からは「近くを訪問するのなら、わが国にもどうぞ」という話がありました。カタール大使からは、「わが国はすべての政党に開かれている」といわれ、アラブ首長国連邦代理大使からも「訪問中継地のドバイから首都アブダビまで車で四十五分。すぐですから、お寄りください」との話がありました。

 私は「国会も始まるし、時間的に無理です」と答えてはおいたものの、思いがけない招きの連続に、わが心は千千に乱れたのです。

 国会では、国会開会中一週間以上休むときには、本会議での議決が必要になります。湾岸三カ国訪問が加わることは決定的に重要だという党の判断のもと、訪問国は三カ国から六カ国へ倍増しました。私の訪問は、参院本会議で全員一致で承認され、そのもとにおこなわれました。

 二十四日間の訪問を終え、訪問国の在京大使を再び訪ねて懇談したときに、各国大使は口々に本国から私たちの訪問について報告がきていることを紹介しながら、「もっともよいタイミングの訪問でした。もっともセンシティブ(微妙)な時期に訪問して大きな成果をあげ、イラク和平のための使命を見事に果たしました」と労をねぎらってくれ、私たちは「ああ、これで今回の訪問が一段落したのだ」と実感しました。中東・湾岸六カ国訪問の前と後での六つの大使館への十二回の訪問を含めると三十六日間の全日程がこれで終わったのです。

さわやかな気持ち

 訪問した国は「われわれは東と西のアジア人」とのべあったように、西アジアに位置します。私たちと今回訪問したサウジアラビアとの友好のきっかけは、昨年十月のトルコのレセプションでの不破哲三議長とサウジ大使との出会いでした。私は、サウジ大使がそのとき日本共産党のテロ問題の書簡を国王に送ったとのべ「アジアの心は一つです」と共感を示した言葉を、今回の訪問中に何度も思い起こしました。そして、全訪問を通じて「アジアは一つ、ともに兄弟」というさわやかな気持ちで満たされました。

 訪問国はみな、日本と緊密な関係にある親日的な国です。これらの国に日本が軍靴で入ったことはなく、経済協力が密接であるからです。湾岸戦争以来、経済制裁の対象となり、日本との経済関係が断たれているイラクですら、外務省やバグダッドで最大の病院などが日本の援助で建てられており、かつての援助が形になって見ることができ、国民が親日的であることが印象的でした。

 こうして、イラクをめぐる国連の動き、国際情勢が激動するもと、イラクと周辺諸国の政府と国際問題の焦点イラク和平を精力的にすすめる旅をおこなったのです。(つづく)

 


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