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紙 智子さん(日本共産党参議院議員)

告発した青年と労働組合の力があらたな状況を切り開いています

今回は47名の皆さんから声が寄せられました。仕事が見つからない、正社員になれない、非正規と正規雇用の格差の問題や、休みがとれず、このままでは体が持たないなど、心の痛む切実な声が寄せられています。「再チャレンジを掲げるなら実効性のある政策を」と政府に対する怒りの声も寄せられています。

 全国の有効求人倍率は5年前の0・5倍から、現在0・96倍と多少数字の上では改善されているものの、青年の置かれている状況には改善の実感がありません。北海道や東北などはきわめて深刻です。北海道では、”企業誘致を図ることが雇用と景気の改善につながる″と条例をつくり、2001(平成13)年度から5年間で140億円を超す道民のお金を進出企業につぎ込みました。ところが求人倍率は0・5倍台とわずかしかあがらず、失業率は本年4−5月期で5・4%にとどまったままであることがわかりました。なぜなのか。日本共産党道議団が、関係のハローワークから求人票を取り寄せて見ると、05年3月から06年3月の一年間にトヨタ自動車北海道(苫小牧)が道内に出した295件の求人票のなかで、正社員の求人は一件もなく、雇用期間3ヶ月の準社員が208件、嘱託パートが13件でした。20億円近い補助金を受けているにもかかわらず、です。さっそく道議会で取り上げ、「道民の税金を投入した企業に対して正規雇用を増やすように働きかけ、雇用の中身の報告を求めるべきではないか」と質問しました。

 この質問をきっかけに、青年雇用の問題で民青同盟などが中心となり、集会を開いたり、街頭での宣伝、青年へのアンケートやシール投票などで行動を呼びかけています。ハローワークへの要請行動、まともな賃金水準を求める青年・パート労働者たちが「最低賃金を引き上げて、パートの時給も1000円以上に」と北海道労働局への要請行動も行なわれました。「高校生・大学生・青年の就職難を考える連絡会」がつくられていますが、交流のなかで、高校生や青年に働く権利を伝える冊子「ディーセントワーク」(人間らしい労働)を普及させ、若者向け「労働ガイドブック」の作成を北海道庁に要求してきたこと、同時に道議会でも質問で取り上げ運動と議会質問との連携で「労働ガイドブック」を作成させる成果を挙げました。

 徳島のトヨタ系自動車部品メーカーの光洋シーリングテクノでも請負の形で働かされていた人たちが労働組合をつくってたたかい、今年夏に、59人が同社への直接雇用を実現しました。先の国会では「ワーキングプアー」、その背景に偽装請負問題があることを追求し、安倍総理から、「ワーキングプアといわれる人たちを前提に、いわばコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば、それは大変な問題」、「(違法であれば)適切に厳格に対応」との答弁を引き出し、期限をすぎて働かせている企業に対して、直接雇用への働きかけを迫り、「厳格な対応」を約束させました。この質問の後、徳島の日亜化学工業株式会社は、請負1600人の直接雇用をすることを明らかにしました。偽装請負を告発した青年のたたかいとこれを支えた労働組合の力があらたな状況を切り開きました。こうした取り組みにあなたも参加していっしょにがんばりましょう。

プロフィール

かみ・ともこ

1955年札幌市生まれ。恵庭南高校、北海道女子短期大学工芸美術科卒業。日本民主青年同盟北海道委員、同中央委員会副委員長。日本共産党中央委員会青年学生部、道常任委員などを歴任。2001年7月参議院議員選挙、比例代表で当選。現在、日本共産党中央委員、参院農林水産委員、予算委員、沖縄北方特別委員会。家族は夫。趣味はスキー、山歩き、絵画、料理。

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