日本共産党

2003年2月25日(火)「しんぶん赤旗」

自治体と文化 削減か充実か(6)

子どもらに生の舞台を

学校運営費で保障する重要性


 「最低年一回、子どもたちに生の舞台を鑑賞する機会を」――子どもの文化にたずさわる人々からこうした要望が出されています。すべての子どもたちが豊かな芸術・文化に接することができるように、鑑賞の機会を保障する意義は、だれも否定できません。

 文化庁は、「本物の舞台芸術に触れる機会の確保」という事業を展開していますが、全国で三百九十五カ所にすぎず、小学校二万四千校にはとても手が及びません。すべての子どもたちに届けるためには、これまで大きな実績と成果を生んできた、民間の児童青少年演劇・音楽における学校公演事業や、地域での自主的文化活動が大切となっています。

 ところが、「学校公演劇団SOS」(二〇〇二年十月二十八日付「日経」夕刊)というように深刻な状況が生まれつつあります。日本劇団協議会が毎年発表している数字によれば、高校公演では、一九九七年から二〇〇〇年のあいだに、百五十六校減っています。中学校でも四年間で七割まで落ち込んでいます。

 同じことは、小学校でもすすんでいます。日本児童・青少年演劇劇団協同組合の調査では、二〇〇二年度、小学校の実施率が全国で73%から69%に減っています。

独法化で補助減

 現状では、こうした民間の活動にたいして、芸術文化振興基金からわずかの支援がでているだけです。しかも、基金を運営する日本芸術文化振興会が独立行政法人とされ、補助が削減されています。また、東京都は、これまで実施していた児童演劇審査員への補助を打ち切ってしまいました。これにたいして、俳優の岸田今日子さんが「石原慎太郎都知事に親展で抗議の手紙を出した」(『せりふの時代』二〇〇二年秋号)といいます。

 これまでも日本共産党は、名古屋市や大阪市で実現しているような、学校運営費(学校維持運営費)で鑑賞活動を保障することの重要性を強調し、国会でも制度の創設を求めてきました。これが今日ますます重要になっています。

助成が歯止めに

 日本児童・青少年演劇劇団協同組合の調査で注目すべき点は、こうした助成が実現している小学校では、学校公演が減っていないということです。大阪市の場合、小学校で三十万、中学校で四十五万円の「学校維持運営費」の名目で実現していますが、実施率は100%です。助成の方法は、地方自治体によって様々ですが、こうした助成が学校公演の減少の歯止めになっているわけです。多くの自治体で実現するため、日本共産党は奮闘しています。

(おわり)

(辻慎一、党学術・文化委員会)


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