アフターケア終わる年に不具合出たらと不安の声

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


新築マンションに入居して二年目です。いま住民の間では、アフターケアが二年で終わるものがあるので、「これからが不安だ」「もし不具合が出たらどうなる」などという声がでています。どのように考えればよいでしょうか。(東京都・Y生)

◇  ◇

千代崎 二年目でそういう話が出ているのは、これからのことを考えると大変よいことだと思います。
 お話のアフターケア条項は通常新築マンションの購入の際に、不動産会社と結ぶ売買契約に付いています。
 これに基づいて入居三ヶ月目と一年目、二年目に不動産会社から建物に関する調査票が送られてきます。
 これまでに管理組合や居住者の方が回答したことはありますか。

──ええ。調査票に「ユニットバスの出入り口のドアの立て付けが悪い」「上階の音が響く」「タイルがはがれた」「廊下に上階からの雨漏りの跡があった」などと回答したという声を聞いています。

千代崎 区分所有者が回答する際に、よく自分の所有する専有部分についてのみ考えて個人で不動産会社と交渉しがちです。
 すると、不動産会社や建設会社は逃げ腰になって「これくらいは仕方がない」「よそでもこの程度です」「それはお宅だけなので内証にして」と言ってきます。
 こんな手に乗ってはいけません。今回はアフターケア終了直前ですから特別に大切です。

──そうなのです。それで不安の声が出ていて・・・。

千代崎 管理組合が中心になってアフターケアの期間中に、建物の不具合があるかどうか、住民の声を聞いて回答して直させることです。個々人任せにしないことが重要です。
 それには管理組合が独自にアンケートを取り、その中に専有部分だけでなく共用部分についても具体的に書いてもらうのです。
 また居住者間の情報交換の場を設ける必要があります。
 築二年でも建物は劣化が目立ち始めますので、建物の不具合を居住者の目で確認し、専門家から意見を聞くことも大事です。
 こうした管理組合の姿勢が区分所有者の専有部の住戸の問題も、共用部の問題も、管理組合主体で考え、不動産会社と交渉する上で大きな力を発揮し、先方の譲歩も大きくなります。
 今回のアフターケアの期間が終われば、マンション営繕のための長期計画の再検討が必要になります。いまの長期修繕計画は、入居時にあらかじめ用意された予定にしかすぎませんので、二年間の劣化状態を判断して自分たちの手で作り直してください。


(「しんぶん赤旗」2004年2月18日付)



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